
医師が転職や非常勤、スポット勤務を探す際、仲介会社を通さずに個人交渉をしなければならないケースは少なくありません。
しかし、条件交渉や契約書の確認を誤ってしまうと、報酬トラブルや想定外の業務負担につながることもあります。
本記事では、個人交渉の具体的なリスク、契約前に必ず確認すべき条件、実際の失敗例、そして安全に進めるための対策を整理します。
筆者:おると
フリーランス整形外科医としての転職経験をもとに、医師転職、非常勤勤務、スポット求人など、医師キャリア領域に関する情報を発信しています。
医師の退局・退職サポート実績は延べ1000件以上以上あり、医師転職やバイトに関して、m3.com、MedPeer、AERAなど様々なメディアで連載、掲載経験もあります。
この記事でわかること
- 医師が転職・非常勤・スポット契約で個人交渉を行う際に起こりやすいリスク
- 契約前に必ず確認すべき勤務条件・報酬・契約内容の具体的チェックポイント
- 実際に起こりやすい失敗例とトラブルのパターン
- 報酬減額や業務内容変更を防ぐための実践的な回避策
- 個人契約でも医師転職サイトを利用するメリット
医師が個人交渉で契約に至る主なタイミングと注意点
常勤・非常勤バイトなど個人交渉が起こるシーン
皆さんは今まで医療機関と個人的に契約に関する交渉をしたことはありますか?
おそらく転職や定期非常勤での入職などの経験がない先生は、ほとんど個人的な交渉をしたことはないと思います。
しかし、医師が医療機関と個人交渉をしなければならないときというのは、思っているより意外と多くあります。
一番わかりやすく簡単にいうと、医師転職サイトや医局人事を介したもの以外の契約は基本的に個人で医療機関と交渉せざるを得ないということになります。
では具体的にはどんなときに個人交渉することとなるのでしょうか?
主なものは
- 自分の知り合いや過去に勤務した病院と交渉
- 他人からの紹介を受けるとき
- 医師転職サイト以外の広告媒体から就職
- 以前に交わした契約を更新するとき
となり、これらは常勤・非常勤にかかわらず個人での交渉が必要になります。
ツテや旧勤務先との交渉のリスクと注意点
常勤・非常勤で働くにあたって、仕事を探す手法としては医師転職サイトと双璧をなす存在となります。
知り合いや、過去に勤務したことがあると言っても、個人で交渉する場合はしっかり契約しないと、思わぬ痛い目にあうことがあります。
完全に知り合いが相手だとしても、個人交渉するときに後ろ盾が何もない場合は注意しましょう。
他人の紹介経由の交渉で見落としがちなポイント
他人を挟む分、一見するとトラブルになりにくい印象にありますが、そんなことはありません。
あくまで紹介者が関与するのは紹介のみであり、たまに条件交渉に関わってくることはあるものの、契約の時まで関与してくることはほぼありません。
そのため紹介案件で契約においてトラブルになったからと言って仲介者に泣きついても、どうにもならないことが多いのです。
知り合いから紹介される場合出会っても、求人案件や契約に関しての内容はできることならば医師転職サイトのエージェントなどに一度確認してもらった方が良いでしょう。

医師転職サイト以外の広告媒体からの応募時の個人交渉
医師転職サイト以外にも広告媒体というものは多数あります。
具体的には雑誌の求人・医師会が出している求人・病院ホームページからの応募などがこれに該当します。
間に多少なりとも介入はしてくるのですが、基本的に交渉や契約は医師と医療機関で行うこととなります。
どの方法で仕事を探したとしても、やることはさほど変わりはありません。
既存の契約の更新交渉と注意ポイント
最初に医師転職サイト経由で就職したとしても、契約期間以降は個人で交渉しなければならなくなります。
最初に契約した時の契約書を見て契約期間をしっかり確認しておき、満期になる前に契約更新についての話をするのがセオリーです。
勤務継続させてもらえるのか、あるいはその医師が自分にあるのかにもよりますが、契約更新の場合は条件アップなどの交渉も少ししやすいのではないでしょうか。
去年の実績をもとに交渉してみましょう。
個人契約で必ず確認すべき契約条件チェックリスト
契約の際にはいくつかのチェックポイントがあり、そこだけはちゃんと抑えておかないと必ず後悔することとなります。
順に解説していきましょう。
契約内容の妥当性を確認するためのチェック項目
初めて契約を医療機関と交わす場合、契約の内容について特に何点かチェックをすべき項目があります。
労働契約期間と更新条件
契約開始日
契約終了日
契約年数
違反した場合(途中退職など)の制約
契約更新について
勤務地と業務内容の明確化
勤務地や配属場所
行う業務内容など
通勤・交通費支給条件の確認
支給額
支給にまつわる条件
労働時間と残業・時間外手当の扱い
勤務時間
休憩時間
時間外手当の有無や条件
休日・休暇・有給休暇の取り扱い
休日の日数
有給休暇について
夏季休暇や年末年始休暇について
賃金(給与額・締め日・支払い方法)
給与の締め日
支払い日
支払い方法
──────────────
ざっとこれくらいはチェックする必要があります。
契約内容を確認してみてもしも自分が納得いかないところがあれば、必ずしっかり話し合いをするようにしましょう。
基本的に契約後の条件変更は困難であると思ってください。
雇用契約書の作成が必須な理由とポイント
契約についての話し合いが終わったら、次に待っているのは契約になります。
契約の際、医療機関に対しては労働条件通知書の作成が義務付けられていますが、雇用契約書は法的には義務ではありません。
なので医師と医療機関とは条件の合意さえあれば、雇用契約書はなしに、いわゆる「口約束」で契約することができます。
実際、医師の業界では口約束での契約というものがいまだに多く存在します。
しかし、個人で交渉や契約を行う場合、絶対に雇用契約書を作成することをお勧めします。
なぜかというと、個人での交渉は第三者を挟む場合と比較してトラブルになる可能性が高く、また守ってくれる後ろ盾もないからです。
厳しいことを言うと、あなたが人間として強い権力やコネを持っている人間でない限り、医療機関から見たらただの歯車の1つであり、使い捨てや換えもきく存在なのです。
実際雇用契約書を作成しなかったことによるトラブルは、僕自身も苦い経験しておりますし、他の先生からも何度か相談を受けたことがあります。
医療機関側から雇用契約書作成の話が出ない場合は自分から話を切り出すようにしましょう。
個人交渉で起こりやすい失敗とトラブル回避法
医療機関側との力関係と交渉リスク
個人交渉に関してまず医療機関と被雇用者の力関係を理解しておくべきと考えます。
基本的に採用前は圧倒的に医療機関が強い状態であると理解しましょう。
理由は明確で、採用するかしないかは医療機関側にかかっているためです。
一方、労働に関する法律は労働者に強くできているため、雇用後はある程度方に守られる形になります。
個人交渉でありがちな失敗例と対応策
個人交渉でありがちな失敗例としては、強く出るべきではないところで強く出てしまい雇用につながらないケースや、法的に守られているのに圧力に負けて不利な条件で働くことになったりするケースが多くみられます。
なお、実際筆者もこれで一度失敗した経験があります。
なかなかこの辺りは転職に慣れていないと失敗しがちなところではあるので、手っ取り早い学習法は「転職して失敗しまくる」ことになります笑
ただ失敗したくない方がほとんどだと思うので、そういう方は医師転職サイトのエージェントに一度相談してみるなどしてみても良いかとは思います。
医師転職サイトのエージェント利用のメリットと活用法
前述した通り医師転職サイトのエージェントは転職サポート経験も豊富で、契約などに関しても細かくチェックしてくれます。
また個人で探した案件に関しても、多少はアドバイスをくれることがほとんどですので、ひとまず登録だけしておくのも良いかと思います。
筆者は医師転職サイトのエージェントに条件交渉をしてもらい、日給が大幅に上がった経験などもあるので、交渉が得意ではない医師はエージェントにお願いした方が円滑に転職が進むでしょう。
個人契約交渉で損をしないためのまとめ
これは筆者の個人的な印象ですが、医師は仕事上で契約を結ぶということに対してあまり慣れていないと思っています。
一方で医療機関は何人も職員を雇用をしており、契約をするということは日常茶飯事となります。
もしも悪質な医療機関にそのようなところを付け込まれると、途端に自分が損をすることとなります。
実際に僕も医療機関と契約でもめたことは何度もあります。
雇用契約書を作成していなかったがために、悔しい思いをする羽目になったこともあります。
自分を守れるのは自分しかいないので、しっかり契約を結んでいきましょう!
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