今までは実際に転職するにあたって、転職を希望する医師側の目線で様々な記事を書いてきました。
今回は市場規模のデータをもとに、医師の転職について考察してみようと思います。
医療機関が転職希望の医師を探す方法は?
転職したい医師を探す方法を医師会の調査からみる
転職に関しては医師が就職できる医療機関を探すだけではなく、逆に医療機関も医師を探しているということは盲点になりがちではあります。
それでは医療機関側は自施設で医師に働いてもらうために、どのような方法をとって転職希望の医師を見つけているのでしょうか?
これについては日本医師会が実施した調査に、医療機関が医師を採用する際に利用する方法が記載されています。
この調査(複数回答可)では医師の採用方法の上位は、
- 大学(医局等)へ依頼 75.1%
- 民間職業紹介事業者 46.9%
- 直接採用(個人的に依頼、縁故)44.2%
- インターネットの求人情報サイトへの掲載 22.7%
となっておりました。
【参考】病院における必要医師数調査結果
http://www.jmari.med.or.jp/download/WP346.pdf
調査からわかる「医療機関が転職したい医師を探す方法」
この調査を順に紐解いていきましょう。
まず1番目に「大学(医局等)へ依頼」というものが実に調査の3/4を占めていることから、現在においても医局というもののパワーがいまだに健在で、人事などにおいてもしっかり機能しているということがまず最初に理解できるかと思います。
民間病院などでも研修がしっかりできる設備や人員があれば、関連病院として位置付けられている場合も多く存在します。
ただ今回は転職を希望する医師向けの記事になりますので、基本的には医局で転勤というのは省いて考えた方が良いでしょう。
そして2番目は医師転職会社などに、登録している医師を紹介してもらうというものです。
これは4番目の「インターネットの求人情報サイトへの掲載」、いわゆる医師転職サイトと利用しているところはほぼほぼ同じにはなります。
これは医局などにこだわらず多くの医師にアプローチすることが可能になるため、使用される頻度はもちろん高くなりますね。
3番目はいわゆる知り合いの紹介というやつです。
知り合いに紹介を頼むのは、ある程度医師の情報をつかむことができるので、医療機関側としても敷居が低くなります。
医師の転職の市場規模は?医師転職サイトが鍵
医師の転職市場はお金が絡むところ、つまり医師転職サイトの存在が大きなカギとなります。
いったいどれくらいの規模なのでしょうか?
医師の転職は年間でどれくらいいるのか?
「平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、医師の全体数は約32万人となっております。
一方、厚生労働省が公開する「平成27年度職業紹介事業報告書の集計結果」によると、医師転職サイトや紹介会社などの、有料で職業紹介を行うサービスを使用した場合の医師の常用就職件数は20,157件となっています。
ただしこれは、4ヶ月以上の有期雇用もしくは無期雇用の就職件数全体の数字となっており、いわゆる非常勤勤務などもこの数の中に含まれます。
つまり医師約32万人の中で年間約2万件程度は、有料の職業紹介事業を利用しているということになります。
【参考】
平成27年度職業紹介事業報告書の集計結果
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11654000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Jukyuchouseijigyouka/0000158808_1.pdf
平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/16/dl/kekka_1.pdf
医師の転職では市場としてどれくらいのお金が動くのか?
前項で見た「平成27年度職業紹介事業報告書の集計結果」には、どれくらいの額が医師の転職に伴って動いたのか?ということについても記載があります。
有料での職業紹介事業の手数料徴収の合計金額は、約154億円という結果となっています。
これは、20,157件の常用就職件数だけではなく、臨時日雇就職延数(スポット勤務)300,196件も加えたものの合計金額となっております。
うーん、めちゃくちゃ大きいですね(小並感
これだけ大きい市場には各社がこぞって参入してくるという構図も頷けます。
事実、医師転職サイトは大きいものや小さいものなど入れると数百、下手すると4桁あると言われています。
今後医師の転職はどうなるか?
医師の採用方法のところで話をさせていただいた通り、医局に派遣を依頼するという手法はいまだに健在ではあります。
しかし医局派遣は現在では半ば強制のような側面も持っているため、数が減ることはないでしょうが、この転職にはあまり意にそぐわないものも含まれている点には注意しなければなりません。
そして、それでも医局の派遣のみで医師採用を十分に行えている医療機関は多くはないのです。
現代では医局の派遣に対して満足がいかない医師などは、専門医取得後などにすぐ退局して、自分にあった病院を自身で見つけることが多くなってきている傾向にあります。
医師は仕事の特性上、仕事に全く有り付けないという可能性は極めて少なく、また医師転職サイトなどで容易に仕事を探すことが可能です。
個人的には医療業界での働き方などの抜本的な見直しがない限り、医師の転職は減ることはなく、むしろ増えていくのではないかと思います。
常勤・非常勤などの医師転職を市場規模から考えたまとめ
今回は転職に対する市場規模やお金の話をしました。
多額の手数料が動いていることがわかりましたが、医師転職サイトなどを使用する場合に医師が手数料などを支払うことはありません。
全て無料で利用することが可能なので、もしも転職を少しでも考えている場合は、まず求人案件を見てみるところから始めて見てはいかがでしょうか?
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