
医師のキャリアプランは、どの年代かによって直面する選択肢や判断の重みが大きく変わります。
若いうちは選択肢の多さに迷い、年齢を重ねるにつれて責任や将来への不安が増していくため、医師のキャリアは常に「判断の連続」となります。
本記事では、筆者が転職支援の中で見てきた医師たちの悩みや実例をもとに、年代ごとに、転職・医局残留・開業といった将来設計で押さえるべき判断ポイントを整理して解説します。
今後のキャリアについて漠然とした不安や迷いを感じている医師の方は、ぜひ参考にしてください。
フリーランス整形外科医としての転職経験をもとに、医師転職、非常勤勤務、スポット求人など、医師キャリア領域に関する情報を発信しています。
医師の退局・退職サポート実績は延べ1000件以上以上あり、医師転職やバイトに関して、m3.com、MedPeer、AERAなど様々なメディアで連載、掲載経験もあります。
この記事でわかること
- 医師のキャリアプランが年代によってどのように変化するか
- 20代・30代・40代以降で直面しやすいキャリア上の悩みと判断軸
- 年代別に考える転職・医局残留・開業のメリットと注意点
- キャリア選択で後悔しやすい医師に共通する考え方
- 将来の自由度を下げないために早い段階で意識すべきポイント
- この記事でわかること
- なぜ医師は年代別にキャリアプランを考える必要があるのか?
- 年代別キャリアチェンジの判断基準と現実的な選択肢
- 医師のキャリアプラン総まとめ|年代別判断のポイント比較
なぜ医師は年代別にキャリアプランを考える必要があるのか?
医師が転職・キャリアチェンジする背景とその理由
いわゆる医局制度が生きいた時代、医師はほとんど全員が医局に所属し、組織の一員として流れに身を任せて医療を行っていれば、それなりに波はあるものの仕事の絶対的な強さがあったため、生活などで困るようなことはなかったのではないでしょうか。
しかしそのような医局制度は崩壊し、それに伴い所属していればなんとかなる時代というのは終わったのではないでしょうか。
現在では大学医局に入局せずに市中病院などで最初から働くというキャリアも珍しくはありません。
マッチング制度や、後期研修での勤務先探しなどで、医師が就職活動や転職をするのはもちろん、その後もタイミングを見て「本当に自分に合った環境とはなんなのか」を考えながら、場合によっては転職を選ぶべき時も多く存在します。
自分の置かれている状況や今後のキャリアなどを客観的によく考えて、しっかりと情報収拾して転職に挑みましょう。
医師キャリアチェンジのステージと検討すべき判断軸
ここからはキャリアプランを考える上で重要な、医師の年齢と卒後年数から大まかにキャリアチェンジが起こりやすいタイミングを考察して時期分けして見ましょう。
- 卒後3~6年目専攻医時代
- 専門医取得から30代後半まで
- 40歳前後から40代前半
- 40代後半から50代前半
- それ以降
おそらくキャリアについて考える場合、このステージ分類に沿って話を進めていくのが非常に円滑なのではないでしょうか。
ステージごとの課題やキャリアチェンジのポイント、行動を起こす際の注意点などをまとめ、優先順序を明確にして、タイミングよく転職活動ができるようにしましょう。
条件のいいポジションや働き方を手に入れるためには、自分の状況やスペックを冷静に理解した上で、キャリアチェンジのタイミングを見極める必要があります。
ではここからはすごく大雑把に傾向を書いていき、それを軸に次章から考えていきたいと思います。
卒後3〜6年目:専攻医・専修医としての選択肢と注意
この時点の医師はいわゆる専門医を取得する前の段階であり、専攻医や専修医と言われる時代になります。
このステージでは「専攻医・専修医でも転職は可能」という感じで考察していきます。
この時代は医局などに所属して、論文・発表など専門医に必要な経験を積む方も少なくありません。
専門医取得〜後半:スキルアップと転職の判断ポイント
このステージは卒後10年前後(だいたい卒後7~14年目)までを想定しました。
つまり「30代後半までの転職でスキルアップを目指す」という感じになります。
専門医取得から30代後半までに関しては、退局なども含めて多くの医師が転職を考えます。
今後の自分をより具体的に想像して、主にスキルアップや今後の専門科内での立ち位置を考えての転職をとっていきましょう。
40代前後:医局に残るか転職するかの判断基準
このステージは「医局に残るかどうかを決める年代」というのがメインになります。
なんで医局に残るかこのステージで考えなきゃいけないのかという理由は2つあります。
1つ目は転科をするのにはそろそろ限界の年齢になってくるということ。
2つ目の理由は、医師会によると新規開業の場合は平均年齢41.3歳となっており、開業適齢期ということで大学医局を離れる医師が多い世代でもあるということです。
どちらが自分に合っているのか考えましょう。
40代後半〜50代前半:開業か勤務医維持かの選択
転科はしないが開業は悩んでいるという医師が、そろそろ本当に開業しないとなと切羽詰まってくるのがこの辺りでしょう。
「開業か勤務医のどちらが最適か考える」というステージになります。
病院などの部長職なども声がかかってきたりなどもするため、ここでの開業を逃せばあとはいわゆる定年退職のような年齢になるまでは開業する方は少ないのではないでしょうか。
50代後半以降:リタイア前提のキャリアと働き方
このステージでは自分の最後の医療をどうするかということを考えながら勤務する必要があります。
その為か特に60歳を過ぎたような医師からは、介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)への転職が好まれます。
「最後のキャリアチェンジで最適な選択肢を」という形で考えていきましょう。
年代別キャリアチェンジの判断基準と現実的な選択肢
ここからは、前章の「医師の年代別の分類から大まかに現況を考える」で考えた各年代別のテーマに沿って順に説明をしていきます。
- 卒後3〜6年目:専攻医・専修医でも転職は可能
- 30代前半〜後半:転職でスキルアップを目指す
- 40代前後:医局に残るかどうかを決める年代
- 40代後半〜50代前半:開業か勤務医のどちらが最適か考える
- 50代後半以降:最後のキャリアチェンジで最適な選択肢を
それでは順に考えていきましょう。
1. 卒後3〜6年目:専攻医・専修医でも転職は可能
医局と医師の卒後3~6年はいわゆる専攻医や専修医という立場で勤務します。
簡単にいうとそれだけなのですが、勤務に関しては意外とバリエーションが豊かで、
- 医局に所属し、大学病院や関連病院で専門科研修を行う
- 大学院に所属し、学位取得を目指しながら研修を行う
- 医局には所属せず、市中病院等で後期研修を行う
- 臨床以外の道を選ぶ
などがあります。
医局所属の利点と未入局での研修の選択肢
かつては医局というものは絶大なる影響力と権力を持っており、ほとんどの医師が医局に所属していました。
しかし、現在では医局の影響力なんかも以前に比べるとどんどん弱まってきているため、医局に所属しないというのも医師の選択肢として増えてきています。
しかし医局に所属するかどうかという問題は、例えば教授を目指す場合や研究を行う場合、海外留学を目論む場合など、医師としての今後のキャリアを考えていく上では特定の場面において重要なファクターとなります。
それだけは押さえておきましょう。
専攻医・専修医が早期転職で得られるメリットやリスク
実際にこの世代の医師は、
- 専攻する科を選んだけれど自分に合わなかった
- 大学病院や関連病院の体制が合わないので市中病院に行きたい
- 市中病院で勤務していたが、キャリアを考えて医局に移りたい
というような理由でキャリアをチェンジしようとする医師もちらほらいます。
昔は専門医の取得前の転職はしてはいけない禁じ手と考えられていましたが、最近ではではそれも決して珍しくなくなり、自分のキャリアを若手のうちから考えて変更していくこともどんどん可能になっています。
若手のうちは専門科の医師としての向上心も比較的高く、さまざまなことに興味を持ち、色々なことを学んでいく時期となります。
しかし日常の業務が忙しくて精神を摩耗した結果、研究や学位取得・海外留学などへの興味は遠のいてしまったり、ハイポな生活を望んでしまう結果にもつながりかねません。
自分のやりたいことや進路を考えた上で、自分が潰れてしまわないような勤務先を見つけて勤務することが、のちのキャリアプランを狂わせない上では重要でしょう。
2. 30代前半〜後半:転職でスキルアップを目指す
この年代の転職が市場で評価される理由
卒後10年前後(だいたい卒後7~14年目)となるこの年代では、認定医や専門医の資格を1つや2つくらい取得している人も多くなります。
年齢的にも体力もあり、また知識や技術などもある程度の水準に達している場合が多い為、医師としてのさらなるスキルを磨くために、より多くの経験を積みたいと考えるひとも少なくありません。
臨床医としてスキルアップを図るために、バリバリ症例数を稼ぐために努力しても良いでしょう。
またキャリアをチェンジする理由で多いのは、自分の専門性を維持しながら報酬のアップを狙うというものです。
また元から開業を目指している場合などは、開業への前段階として
- 常勤やフリーランスなどでクリニックに勤務し、経営の勉強をする
- 開業予定地域の診療連携拠点病院に転職をしてネットワークの土台を作る
- 専門性の高い医療ではなく幅広く一般内科などを学ぶ
などなどの選択肢もあります。
要するに先のキャリアを考えた上で、自分にとってスキルアップになる転職を考える人が大半となるのです。
一方、今の専門や診療科は自分に果たして合っているのだろうかと悩み始めてしまうのもこの時期に多くみられます。
もしも転科をしたりなどでキャリアの方向転換をはかるなら、比較的若手であるこの年代はある意味いいタイミングかもしれない。
若手転職の注意点と長期キャリアへの影響
年齢も若く体力があり、それなりのスキルをもっており、かつ破格の報酬を求めてこないここら辺の年齢層は、転職市場においては需要も極めて高く、どんな医療機関でも比較的高評価を受け、転職活動がしやすい傾向にあります。
圧倒的な売り手市場となる為、転職を考えていく場合は自分の希望条件などは少しきつめに考えておいて、後から緩めていくのが良いでしょう。
ただ引く手数多だからといって、「もしも転職が失敗してもまたすぐに転職すればいい」という安易な考え方だけはしないようにしましょう。
なぜなら短期間で転職を繰り返すような医師は人格や能力的に何らかの破綻を抱えているのではないかという疑念を持たれる可能性があるからです 笑
できれば一度転職したら最低でも2年程度は頑張って耐えた方が良いかもしれませんね。
転職回数も医療機関側からの評価項目としては重要になってきます。
常勤でもいいですし、もちろんフリーランスでもいいのですが、しっかりと先のことを考えて行動することだけは同じです。
慎重に行動しましょう。
3. 40代前後:医局に残るかどうかを決める年代
医局残留のメリット・デメリット
40歳前後は年齢の幅としては狭いものの、臨床医としては最盛期を迎えるような時期であり、キャリアチェンジの面でもかなり重要な年代になります。
特に重要となるのは医局に所属する医師にとってで、これくらいの年代になってくると、医局における自分のポジションや今後の可能性、病院内外の派閥や勢力などがある程度把握できるようになってきます。
これを打算的に検討することにより、自分が今後どの程度まで出世することができそうなのかを意識するようになります。
つまり
- この先医局員として大学病院にいても、自分がやりたいことができない
- 医局内での主要なポジションが望めそうにない
なんて場合には医局に残るメリットも限りなく少なくなってしまうので、転職する方が賢明だと言えるでしょう。
ただ医局に所属するメリットというものもあることにはあります。
例えば医局から派遣されて関連病院などに在籍している医師の多くは、40代以上になると異動自体が減ってきます。
部長など役職がもらえるようになればさらに異動も減るので、同じ施設ずっと勤務することも可能になります。
また、ある程度勤務や医療の内容などにも口を挟むことができるようになり、自分でコントロールするこたとができるようになってきます。
また勤務内容や待遇などに関する要望も比較的通りやすくなってくるため、極端に相場から逸脱しないように配慮すれば、「給与アップ」「当直なし」「残業少なめ」などの交渉もスムーズにできるでしょう。
これらのことをふまえて、改めて医局に残るのか、それとも医局を離れて働くかを決めましょう。
転科でキャリアの軸を変える判断ポイント
基本的に転科というものは、学年が若ければ若いほどやりやすいのはいうまでもないでしょう。
これくらいの年代になってくると、おそらく転科をできる最後のチャンスとなる可能性が高いのではないでしょうか。
これ以上上の年代の転科では、新しい診療科で勤務して得る利益よりも、今までの診療科で培ってきた様々なものを捨てるデメリットの方が大きくなってきます。
無意味な転科をしないようにしましょう。
開業希望の医師は早めの決断を
前述した通り、もしも開業を考えているならばこの年代はまさにちょうどいいのではないでしょうか。
日本医師会の資料では開業時の平均年齢は41歳となっています。
また、この年代よりも年齢が上がれば上がるほど、開業するにあたって金融機関から融資を受けようと思っても、年齢が足かせとなりハードルが高くなる可能性がありますので注意しましょう。
4. 40代後半〜50代前半:開業か勤務医のどちらが最適か考える
この年代はいよいよもって開業をするか、勤務医を続けるかの決断に迫られる人が大半ではないでしょうか。
開業のタイミングと準備ポイント
前述した通り、日本医師会の資料では開業時の平均年齢は41歳となってお礼、この年代ではすでに平均を通り越しています。
ある程度前から開業することを考えていて、あらかじめ準備をしてきたような医師はいいのですが、この時点で「やっぱり勤務医は向いていない」などと方向転換した場合は、準備に手間取っていると開業でかかったコストなどを障害で回収することが難しくなってきます。
勤務医のポジション継続戦略やメリット
ここまでしっかりと勤務医を続けてきた人は、おそらくある程度しっかりとしたポジションについているのではないでしょうか。
かねてより積んできた医師としての経験やキャリアがこの年代でようやく実を結ぶことも決して少なくはありません。
ただ勤務医として働くと決めたとしても、勤務医の中で転職は可能になります。
例えば現在勤務している病院での役職や給与などの待遇に納得がいっていない場合、医師転職サイトなどで病院の院長職や部長職などの求人を見つかることができればそちらにシフトしてしまうことは可能です。
症例数や経験が豊富であったり、管理職の経験があったりすれば、他の病院でいきなり部長職として入職することも可能でしょう。
ただ部長や院長などの役職を伴う病院勤務医としての求人案件は、医師転職サイトを見ても正直掲載数は少なくなっており、また求人案件が出ることも比較的珍しい傾向にあります。
ある程度早めの段階から医師転職サイトに登録をし、自分の専任エージェントに現在よりもキャリアアップを望んでいるという旨を伝えておきましょう。
そうすることにより、エージェントが求人案件を見つけた場合に連絡をくれるようになり、チャンスが増えることになります。
5. 50代後半以降:最後のキャリアチェンジで最適な選択肢を
医師としていつまで働くのか?
医師には定年制はないので、自分の好きな時まで働くことが許されます。
某医師転職サイトの体験談では80代での転職体験談が載っていて語義もを抜かれた記憶もあります 笑
ただ実際のところそんな年齢まで働きたいと考える医師は少なくなっており、生涯働くことをを目指さないのであれば、50代後半ごろから自分がリタイアをするタイミングや、どのような医療機関で働いてリタイアを目指すかなどを考えておけると良いでしょう。
老健・特養・訪問診療などの勤務も選択肢に
人間は年齢が上がるにつれて、体力などの低下も顕著になってきます。
そのため、手術を朝から晩までバリバリやったり、外来を一日中限界の速度でこなしたりなどのハードワークはおそらく無理でしょう。
そのためそのようなハイパーな医療機関は、こちらとしても医療機関側としても希望することはなくなってきます。
そのため今までハイパーな医療機関でバリバリやっていたような医師も、少しずつ汎用性の高い診療形態にチェンジしていくのが望ましいでしょう。
この年代以降の医師からは人気が高くなってくる転職先としては、収入を確保するならば透析クリニックや訪問診療、収入よりも自分の時間を大切にするならば介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどが挙げられます。
キャリアを考えていく上では、おそらくこれが最後のキャリアチェンジとなることがほとんどでしょう。
しっかり最後まで考えて、転職を遂行しましょう!
医師のキャリアプラン総まとめ|年代別判断のポイント比較
各年代ごとのキャリアプランについてまとめてみました。
キャリアチェンジをするのはなかなか勇気がいる行為にはなりますが、結局どの年代でも大切なことは「自分の立ち位置を把握し、将来どう働くかを逆算していく」と言うことが大切なのではないでしょうか。
もしも自分の今後のキャリアについて悩んでいる場合は、医師転職サイトに登録してエージェントにキャリアの相談だけしてみると良いでしょう。
優秀なエージェントはキャリアの相談も非常に参考になります。
ですが一つの意見を鵜呑みにするよりかは、いろんなエージェントから話を聞いて、それを統合してみる方が客観性という意味では優れているでしょう。
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