医局を辞めるという決断は、医師のキャリアの中でも大きな決断となることでしょう。
退局がうまくいくのといかないのでは、その後の転職活動にも大きく影響してくることとなります。
今回は医局円満に退局するために必要な知識を、ちょっと変わった「医師と医局」双方の目線から徹底的に考察させていただきます。
- 円満な退局を成功させる条件を考える
- 医師・医局両方の「円満な退局」の条件を満たすには?
- 医局を円満に退局するために必要な「理由」
- 医局を円満に退局する適切な「タイミング」
- 退局前の転職活動は円満に退局につながる?
- 医局を円満に退局した先輩の話を入手すべし
- 円満退局のために医師主導で動こう
- 医局を円満に退局するために知っておくべきことまとめ
円満な退局を成功させる条件を考える
円満な対局を実現させるためにはいくつかの条件があると、おるとは考えます。
その条件は「円満な退局」というものがどういうものなのか?ということを、医師と医局の目線の両方で考えることが必要であると考えます。
医師にとっての円満な退局
まず医師にとっての円満な退局というものについて考えてみます。
医師にとっての円満な退局とは、
- スムーズに退局ができる
- 医局と良好な関係を続けることができる
などが必要な条件ではないでしょうか?
少し細かく解説してみます。
スムーズに退局ができる
これが一番大切な内容であると考える医師は多いのではないでしょうか?
とにかくスムーズな退局は、必然的にスムーズな転職へとつながります。
退局時に医局からの強い引き留めなどに遭ってしまい、結果として転職の予定が年単位で遅れてしまったなどのケースも少なくありません。
そもそも自分の中でほぼ結論の出ているやりとりをいつまでも続けなければいけないというのは、精神的な負担にもなりかねません。
なお、医局はよほど医師に問題がある場合などを除き、大体引き留めてくれます 笑
うまく退局をするためには、どうすればスムーズな退局ができるかということを常に考えた上で臨機応変に立ち振る舞う必要があるでしょう。
医局と良好な関係を続けることができる
「退局したら医局と関係が切れても全然構わない」と考える医師は少なくないでしょうが、それが望ましくないケースも多くあります。
もしも自分の専門科での勤務を継続する場合、開業であろうがフリーランスであろうが勤務医であろうが、転職後に医局と良好な関係を保てていることに越したことはありません。
理由としては、
- 学会などで遭遇する可能性が高い
- 医局員に患者を紹介・逆紹介する場合がある
- 次の職場が関連施設としてもらえる可能性がある
などが挙げられます。
おると自身も数年前に退局はしましたが、同門会は抜けずに所属しており、患者紹介などもよくしております。
医局にとっての円満な退局
一方で、医局にとっての円満な退局とはどんなものなのでしょうか?
まず医局にとっては「医師が退局しない」と選択肢が最良であることは、頭の片隅に置いておきましょう。
その上で医局にとっての円満な退局とは、
- 医師が退局しても、現在の労働力が破綻しない
- 医師が医局の運営の邪魔をしない
- いずれ医師から医局に対して、何らかの還元がある可能性がある
ということではないでしょうか。
医師が退局しても、現在の労働力が破綻しない
まず医師が医師が退局すると言うことは、単純に「労働力が減る」ということに直結します。
一人医師が抜けるだけで、医局内の専門班構成、外来担当コマ数、学会発表の人数、関連病院の人員確保、外勤先の確保問.....などなど、様々な影響を及ぼします。
特に医局員がギリギリの人数で構成されている場合、一人抜けるだけで外来などが回らないなんて緊急事態に追い込まれることも少なくありません。
ここに配慮ができると退局の時に円満に進むことが多いでしょう。
医局の事情などもよく観察してみましょう。
医師が医局の邪魔をしない
退局した医師にたまにみられるのが、「あの○○医局はクソだった」とか、「医局は意味ない」などと吹聴して回るケースです。
確かに医局での業務が嫌で退局するケースも少なくはないと思いますが、このように医局の評判を下げるようなことをするのは、退局時には影響がなくても後でバレてトラブルを引き起こす可能性があります。
おるとも退局した身ではありますが、医局には医局の素晴らしいところがあると思っています。
何よりそこまで育ててもらった恩義などは忘れないようにしましょう。
いずれ医師から医局に対して何らかの還元がある
対局がいずれ医局のメリットにつながるなんて場合は、退局がスムーズにいく場合があります。
例えば「一度医局を離れたが、どこかで技術を身につけ医局に帰ってくる」などというケースの場合、医局が退局を快く許してくれる確率は上がるでしょう。
また、患者を紹介したり、外勤で定期非常勤としてサポートにはいる場合などもここに分類されます。
何度も言いますが、医局から医師がいなくなることに関しては「医局側にはほぼメリットがない」ということを知っておく必要があります。
そのため、こちらが退局しても医局にはメリットが少しあるという環境は、退局する上で少しだけ強みになるでしょう。
医師・医局両方の「円満な退局」の条件を満たすには?
前述した医師・医局目線の円満な退職についての内容に関して、どちらかに条件に合わないところが生じるとトラブルが生じ、「円満ではない退局」となる可能性が出てきます。
しかしお互いの主張には「一刻も早く退局したいvs医局員が少ないから退局してほしくない」などなど、必ず相容れないところが生じてきます。
この際にお互いに必要なこととは一体何なのでしょうか?
それは「ある程度お互いの事情を理解しあって納得がいく」ということでしょう。
お互いが納得いかない退局に円満などあり得ません。
医局を円満に退局するために必要な「理由」
医師には医局を退局しようと考える理由が必ず存在します。
転勤や給与など待遇面の不満、人間関係の悩み、新たな専門性・技術への挑戦、家庭の都合などなど、理由の種類は沢山あります。
これらの理由は、大きく分けると2種類あります。
それは「医局が納得いく理由か、いかない理由か」です。
例えば退局の話をするときに「医局での雑用がイヤです!」とか「もっと給料がいいところで働きたいです!」なんて馬鹿正直に話してしまうと、確実に炎上します笑
そのため、もしも医局などに思うところがあったとしても、ある程度は医局も納得がいくような理由を話ましょう。
家庭の環境の変化などは医局としても協力できないため、スムーズに認められることが多い傾向があります。
しかし後ですぐバレてしまうような見え見えの嘘をつくのは、絶対にお勧めできません。
自分が辞めたい理由が客観的にみて納得できるような内容か、今一度確認してみましょう。
医局を円満に退局する適切な「タイミング」
自身のキャリアの上で良い退局のタイミングは?
退局に関してはある程度、タイミングというものも重要になります。
なぜかというと自身のキャリアの中での節目になるタイミングであれば、それを理由に退局宣言することが可能になるからです
具体的に上げていくと、
- 専門医取得
- 学位取得
- 御礼奉公終了後
- 医局内の体制変更・勢力変化
- 尊敬する医師の転職・退職
- 教授交代
- 開業予定
- 親族の介護
- 結婚
- 妊娠・出産
- 子育て・子どもの教育
- 上記に伴う転居
などが節目として考えられることが多くなっています。
特にこの中でも家庭の事情による退局は、はっきりとした理由な上に、自分や医局の努力でどうにもできない面もあるため、理由として伝えやすく通りやすいと思われます。
医局が都合がいい退局宣言のタイミングは?
一方で医局が退局宣言をされる上で、比較的都合がいいタイミングというものはあるのでしょうか?
これに関しては、短期ー長期目線がありますが、
- 上半期の終わりぎわ
- 自身と同じ専門の医師が医局内に豊富な時期
- 医局全体が全体が活気付いている時期
などではないでしょうか。
基本的に医師が一人抜けても予定や人員が組みやすいという時期が、退局するタイミングとしてありがたがられる傾向にあります。
そのため年度末などのギリギリのタイミングで退職の意思を伝えることは得策ではないでしょう。
次の医局内での人事がある程度固まるよりも早い段階で、医局長や教授などの人事権を握る人間に退局したいという希望を伝えるようにしましょう。
基本的には退局希望は半年以上前に伝えるというのが暗黙のルールではありますが、医局によってはローカルルールを適用しており、もっと前に言わないと認めないとしている場合もあるので、すでに退局した先輩医師などからこっそり情報をゲットしておきましょう。
なお、教授交代時などは性質上、退局の許可がサッと降りることが多いですが、同時に医局員がごそっと抜ける可能性がある時期でもあるので、医局としては嬉しくはないでしょう。
必ずタイミングの良い退局はできない
では退局をする時は双方の都合を考えて退局を決断しなければならないのでしょうか?
タイミングをうまく計れば退局がスムーズに運ぶのは確実なのですが、みんなにとって良いタイミングが都合よく自分が辞めたいタイミングと重なるとは限りません。
なかなか良いタイミングをつかめないまま時間だけが過ぎ、その間も激務を続けていつの間にかタイミングを逸してしまったり、挙句体調を崩してしまったりすることもあります。
なので退局にあたっては「ちょうど良いタイミング」を意識し過ぎる必要はありません。
なので退局に関しては、良いタイミングを狙えればベストだが、基本は辞めたい時が辞め時という風に考えましょう。
退局前の転職活動は円満に退局につながる?
退局前から転職活動を開始しておくことは、引き留められた際には有効であるという話を他の記事でさせていただきましたが、円満対局という観点からはどうでしょうか?
これに関してはケースバイケースではありますが、家庭の事情やより技術を磨きたいなどのポジティブな理由の場合は、少なくとも悪い方向に動くことはないのではないかと思います。
しかしこのような場合に注意していただきたいのですが、円満退局という観点からは「次の職場が決まっているので退局の話し合いで強気に出る」というのは大体円満退局にはつながりません。
次の職場がすでに決まっているということ自体に教授などが怒り、手を回されて転職が破談になったというケースもたまにあります。
もし退局前に転職活動をする場合は、あまり表立ってやらないようにしたほうが良いかもしれませんね。
常勤医として転職したい場合
が上から順におすすめ!
医局を円満に退局した先輩の話を入手すべし
医局を円満に退局するコツは、すでに円満に退局できた先輩の話にヒントが詰まっていることが多いです。
- 一体どのようなことがトリガーとなり退局を考えたのか?
- 医局を辞める時の理由は?
- 退局宣言時の教授などの反応は?
- 円満対局だったのか、破門だったのか
このような情報は、いくらあっても困ることはありません。
円満退局した先輩医師から直接話を聞くことができれば一番ですが、その当時周りから見ていた医師からも情報を得ることができればなお良いでしょう。
意外と退職した医師が思っているほど円満退局ではない場合も......笑
円満退局のために医師主導で動こう
意を決して医局に対して退局宣言をした後、教授や医局長に囲まれて恐ろしい面談が待ち構えている......
と思いきや、待てども待てども連絡が来ない!!
なんてことや、
「ちょっと一回考え直してみて......」と言われたまま、はや数週間音沙汰なし......
なんてことは退局の交渉ではよくあります 笑
何度も言いますが、医局から医局員が去っていくということは、医局にとってはほぼマイナスなイベントであり、放っておいても積極的には動いてくれません。
なのでこの場合は自分主導で動く必要が出てきます。
お互いめんどくさいと思っていると思うので、率先して動いて早急に退局の意思をしっかりと伝えるようにしましょう!
医局を円満に退局するために知っておくべきことまとめ
今回の記事では、医師目線と医局目線というちょっと変わった切り口で、円満対局について考察してみました。
今までの医局での生活で良かったこと、悪かったことをしっかり振り返り、今後どうしていきたいかを明確に目標立てて、きれいに退局しましょう!
円満な退局は「転職の成功」への第一歩です!
事前、あるいは同時に仕事を探しておきたい場合はこちらを参考にしてね!
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