
専攻医の学年は、先輩医師からは「医師としてはまだ未熟、知識が一人前ではない」と捉えられがちではあります。
そんなときに医局や病院をやめることは、専攻医にとっては不安に感じるのではないでしょうか。
今回は
- 専攻医(旧後期研修医)が職場を辞めることができるのか?
- やめた場合どんな選択肢があるのか?
- 転職することは可能なのか?
- する場合の注意点は何なのか?
などについて、退職経験のある筆者が考察してみたいと思います!
- 専攻医とはなんなのか?
- 専攻医だって仕事がつらいときはある
- 専攻医が退局・転職を考える様々な理由とは?
- 専攻医が医局や病院などの職場を辞めた場合の選択肢
- 専攻医が退局・転職する際の注意点は?
- 専攻医が医局などを辞めるとどうなるかまとめ
専攻医とはなんなのか?
医師国家試験に合格した後には初期臨床研修を2年間行う「初期研修医」となります。
その後に自分が進むべき専門科を選択し、「専攻医」という存在になります。
そして専攻医になった後に専門医試験を合格したものが専門医機構から認められた「専門医」となるのです。
ちなみに現在の専攻医と呼ばれる存在は、2018年4月以前は「後期研修医」と呼ばれていました。
専攻医だって仕事がつらいときはある
専攻医の職場での働きは大変になりがち
前述した通り、専攻医はまだまだ医師としては若手としてとらえられることが多いでしょう。
専攻医や後期研修医という名前の響きからも「一人前ではない」という印象になりがちではあります
しかし実際の臨床の場においては、専攻医は実働部隊の核となるような重要なポジションで動くことがほとんどです。
手術や手技などもメインに近い存在として動いていることも少なくありません。
そのため夜遅くまで残って仕事をしたり、今後のため...と論文を書かされたりなどなど、かなり忙しい生活を強いられることもあります。
そうなると「仕事しんどいな、辞めたいな」と思ってしまう医師も出てきてしまうのは仕方ないとは思います。
専攻医でも仕事がつらい時は当たり前につらい
専攻医として研鑽しているときは、勉強と実務に追われ日々成長を感じるとは思いますが、ふとしたときに疲れやつらさを感じてしまうことも少なくありません。
また、パワハラやセクハラなどのハラスメントを受けたり、人間関係でこじれてしまう場合もあります。
遊びに行ったり、お金があれば好きなもの買えるのに......なんて考えることもあるでしょう。
人間として生きていく上で「つらい」とか「疲れた」と感じてしまうことは当然ではあります。
しかし、医療の現場においては「清貧かつ勤勉でなければならない」という半ば強迫観念のようなものも存在します。
限界までつらさを我慢した結果、突然糸が切れたように職場に来なくなってしまう......なんてこともあるので、その前に対処をしていく必要がありますよね。
筆者は実際に急に職場に来なくなった医師を何人も知っています。
辛くて病んでしまう前に現在の職場を離れるという選択肢はアリですし、職場や医局を辞めたら人生が詰むのかというと、全くそんなことはありません!
専攻医が退局・転職を考える様々な理由とは?
専攻医の仕事が辛い、しんどい
専攻医が退局・転職を考える理由としては、これが一番多いのではないでしょうか。
いわゆるドロップアウトのような形になってしまうケースも少なくありません。
このようなケースでは、その後の仕事に対する考え方や転職のルートによっては取り返しがつかない方向に行ってしまうこともあるので注意が必要です。
上司・同僚との関係が悪い
これも意外と多い理由になると思います。
人間関係でもまた職場で働き続けるのは精神的にきついものです。
筆者も苦手な上司などと同じ職場で働いている時は、早く来年になって異動になりたいとずっと考えていました 笑
退局経験がある筆者の友人の中にも、この理由で退局に至った医師が複数名います。
医局にいるメリットを感じなくなった
本来専攻医になった医師というのは、専門医を取ることを目標にしているケースがほとんどのはずだと考えます。
しかし専門医が不要なキャリアで将来生きていこうと決意した場合、専攻医でいる意味は無くなります。
フリーランスの医師の中にもこのような方はいます。
家庭の都合で専攻医を辞めせざるを得なくなった
例えば親が急逝したため、親のクリニックの跡を継がなければならなくなったケースなどが該当します。
また、配偶者の転勤などで勤務地ごと変更になってしまうケースなどもあります。
パワハラ、セクハラなどに耐えられなくなった
昔に比べるとハラスメントは減ったように筆者は感じますが、無くなった訳ではありません。
激務な上にパワハラ、セクハラなどの余計なストレスが加わると、普通なら耐えれたような内容でも耐えられなくなってしまうケースもあるでしょう。
専攻医が医局や病院などの職場を辞めた場合の選択肢
専攻医がもしも職場を辞めた時に、取ることができる行動の選択肢としては
と言う形になります。
医局・医療機関を変更する(転職)
現在勤務している医局や病院をやめて、違う医局や病院に職場を変更することにより、勤務環境を変えてしまおう!と言う手段になります。
環境がガラッと変わるので、人間関係や仕事に疲れてしまった場合などは、このパターンが多く見られます。
違う職場にうつったりする事に関しては全然ありなのですが、自分が「専門医を取得したい」と考えている場合は、転職先の病院をよく比較検討する必要があります。
なぜかと言うとこの場合は、症例や手技が豊富で、申請のための要項を満たすような、いわゆる専門医取得できる施設に再度転職をする必要があるためです。
病院を探す場合はここら辺をしっかり比較検討しないと、転職したはいいものの自分が取得したい専門医が取得できない!という、ちょっとヤバイ事態に陥ることがあります。
このような事態を避けるためには、医師転職サイトのエージェントに相談して専門医取得可能な施設かどうか調べてもらうのが一番はやいかと思います。
大体の場合は自分で精力的に転職活動できるほどの余裕がないことが多いので、転職の希望条件にあった職場を数カ所ピックアップしてくれるのは非常にありがたいですよね。
おそらく面談などの予定を組むまではこのケースだと厳しいとは思いますが、情報をもらえるだけでもありがたいかとは思います。
もちろん自分で医療機関の担当者にアポを取って、直接聞いてみたりすることも可能です。
専攻する科を変える(転科)
これは現在専攻している科をやめて、別の科に変更して心機一転頑張るという手段になります。
いわゆる転科というやつですね!
- 一度入局をしたものの、やはり自分には向いていない
- 自分がやりたいことのために、他の科の勉強も必要とする
- 心身ともに疲れてしまい、QOLが高めの科に移りたい
なんて場合が多いのではないでしょうか?
しかししっかり考えてから転科をしないと、以前のキャリアがほぼ役立たずで終わってしまうため注意が必要です。
自分が何をやりたいのか、どういうキャリアプランを歩みたいかを一度は考えてみるようにしましょう。
もし悩んだ場合は医師転職サイトのエージェントに相談するというのも一つの手です。
今の職場の近しい人に相談すると、だいたい退職を引き止められますからね...笑
開業医として生きていく
開業をする多くの医師は、だいたい10年〜20年程度病院などで勤務をしたのちに、自分で開業すると言う流れが多いように感じます。
専攻医(後期研修医)が開業するというのは、その流れから考えると時期としては早くなるためか、専攻医での開業を考える方は比較的少ないとは思います。
しかし、不可能なのかと言うと決してそんなことはなく、法的な問題もありません。
そのため最近では少しずつ増えてきている印象があります。
しかし医療従事者から見ると、「まだ何もわからないような学年の医師が開業した」というような陰口を叩かれることが多い印象があります。
まだまだかなり賛否両論の多い部分にはなりますので、しっかり自分の中でよく考え、芯を持って開業するようにしましょう!
フリーランス医師(バイト医)として生きていく
医局や病院を辞めてしまい、その後は常勤として勤務をせず、定期非常勤やスポットバイトを組み合わせて生きていくという手段もあります。
つまりフリーランス医やバイト医として生きていくという選択肢です。
組織に所属しなくても、医師免許がある限りは働き口には困る事がない、というのは医師の強みでもあります。
定期非常勤やスポットバイトなどをしながら生きていくことももちろん可能ですが、この場合注意しなければいけないのは、専攻医はあまりにも経験が浅いと言う事です。
定期非常勤バイトで最も求められるもの、それは「即戦力になる」と言うことです。
定期非常勤バイトは、医局からの派遣の場とかでない限りは教育的な思考などは基本的にありません。
外来などの業務を自分一人で完遂する代わりに医療機関はお金を払うという労働契約の基本になるわけです。
そのため経験が浅い場合、即戦力を求めるような定期非常勤ではそもそも雇ってもらえるる可能性が少し下がります。
また日給などの金額の交渉でもあまり強気に振る舞うことはできないでしょう。
検診や、献血などのバイトなど、あまり学年が関係しないような仕事で食いつないでいくことも可能ですが、それを一生やっていくと考えているのであればお勧めはできません。
一時的に心身の休息のためにフリーランスやバイト医として働くのは良いかもしれませんね!
医師以外の仕事をする
世の中には医師免許を取得した後、医業を行いながら並行して別の仕事をしたり、あるいは医業を全く行わずに別の仕事をしている方もいます。
1番メジャーな例は、ブラックジャックや火の鳥など数多くの名作を生み出した漫画家の手塚治虫先生でしょう 笑
医師免許を取得したからといって、他の仕事やっていけないと言う規則はどこにもありません。
医師免許をうまく使用する事によって、他のビジネスに対しての付加価値になる可能性も大いにありますよね。
最近は事業のスタートアップなどでも医師が絡んでいるのをよくみます。
ただし、基本的には医業は安定感がずば抜けているため、最初は医業+ αで行うことを考える方が良いでしょう。
成功しそうなルートが見えたら徐々に本格化することを考えていく方が、収入的にも安定感は出るはずです。
専攻医が退局・転職する際の注意点は?
出来る限り円満退局を心がけるべし
当たり前の話になりますが、医局や病院などを辞める際は円満退職を目指すべきです。
特に他の医局などに転職をして同じ診療科で働き続けたり、そちらで専門医取得を継続しようと思っている場合は絶対です。
円満でない場合、業界が狭いので悪い噂を流されたり、今までの経験症例を承認してもらえなかったりなどの嫌がらせを受ける可能性があります。
なんなら筆者は嫌がらせを受けた人間を何人も知っています。
筆者は自分では円満に退局できたと思っており、今でも医局の先輩などと飲みに行ったりします。
「円満退職なんてない」と言い張る医師もSNSにはいますが、筆者は可能だと思っているので、ぜひ下記記事も参考にしてみてください。
転職時は契約内容をしっかりチェックすべし
今まで医局などに所属していた若手の医師などは特に、契約ごとに慣れていないことがほとんどです。
しかし退局すると医局の庇護がなくなるため、契約に一人で挑むことになります。
相手は契約ごとを日常茶飯事としているようなベテランですので、契約で騙されてしまうこともあるでしょう。
かくいう筆者もフリーになった一年目は契約で失敗をしました 笑
絶対に契約書関連はしっかり確認するようにしましょう。
専攻医が医局などを辞めるとどうなるかまとめ
専攻医が職場を辞めるという選択肢は、昔はほとんどありませんでしたが、近年は割と多い傾向にあります。
どの選択肢を取るにしてもしっかりと考えた上で行動、決断する必要があります。
悩んでしまった場合は、すでに退職をした医師を筆頭にいろいろな立場の人間に相談してみるのが良いでしょう!
医局にいる先輩、別病院の知り合い、SNSで知り合った医師、転職会社のキャリアアドバイザーなど、仕事に関してアドバイスをくれる人間はたくさんいます。
特に転職会社のキャリアアドバイザーは何人も同じような事例を見ているため登録して相談だけする価値はめちゃくちゃあると思います。
同じような立場の人からだけではなく、色々な意見を聞いて考えるのが良いと思います!
もしも悩んでいる場合は僕にDMしてくれても構いません!
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