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【医師転職体験談】退局しQOLと仕事を両立!セクハラ・多忙から解放【転職成功】

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【医師転職体験談】医局を退局しQOLと仕事を両立!セクハラ(セクシャルハラスメント)・多忙から解放

退局から転職に関しての体験談というものは、自分が当事者となった場合に非常に参考になる代物です。

しかしネット上には多くの体験談がありますが、どれも体験談のみで転職者からのコツやアドバイスなどは書かれていなかったり、内容が薄く詳細がわからないなど困ってしまうことも少なくありません。

今回は女性若手医師の転職体験談をいただいたので、参考にしていただければ幸いです!

転職者プロフィール

年齢:30代前半

性別:女性

診療科:整形外科(医師8年目)

【転職前】大学病院

勤務日数:常勤週4日勤務(8時〜19時)+非常勤バイト1日、土曜外来月1回
     大学当直1〜2回/週、医局派遣のバイト当直6〜8回/月
     オンコール週1〜2回

年収:920万(大学360万+非常勤バイト360万+アルバイト当直約200万)

【転職後】市中病院

勤務日数:週4.5日(9時〜17時30分)+非常勤バイト1日
     当直・オンコールなし

年収:1400万(常勤1000万+非常勤バイト400万)

私が退局を考えた2つの理由

医局の医師からのセクハラ

私が退局を考えた理由はいくつかあり、まずは医局内でのセクハラが挙げられます。

もともと(暗黙の了解で)男性しか入局できない医局だったのですが、数年前から女性も入局できるようになり、その年からほぼ毎年10人弱の新入局員のうち1〜2人は女医が入局していました。

しかし、そうはいってもやはり医局内はほとんどが男性のため、未婚かつあまり強く断れない性格の私は格好の餌食となってしまいました。

医局旅行や飲み会ではもちろん、カンファレンス中や手術中にもセクハラをされました。

今思えばきちんと断るべきだったと思いますが、当時は「これで先輩方との関係が悪くなったら手術の前立ちをお願いできなくなるかもしれない」なんてことや、「もし出向でこの先生と一緒になった時、今度はパワハラされるかもしれない」などと考えてしまいました。

その当時は結局「それならば黙って受け流すほうが得なのではないか」と思い強く言い出すことはできませんでした。

しかしセクハラのストレスか、だんだん職場に行くのが辛くなってきてしまい、毎日が憂鬱になり、退局しようかなと考え始めました。

多忙な当直が大きな負担に

もう一つの大きな理由は当直の多さになります。

最低でも週1回は大学病院での当直があり、ほぼ仮眠が取れないような状況で翌日の通常勤務もこなさなければなりませんでした。

それに加えて医局派遣のアルバイトの当直が月6〜8回あり、さらにオンコール当番もあったので、自分の家できちんと睡眠を取れたのは数日に1回だったと記憶しています。

それでも入局したての頃は体力が余っていたので問題はありませんでしたが、数年経つと当直明けに体調を崩すことが多くなり、同僚や患者さんに迷惑がかかってしまうため退局しようという気持ちが強くなりました。

退局を決意して医師転職サイトで仕事探し

医師転職サイトのエージェントに希望条件を提示

退職を決意してまず初めに、いくつか大手の医師転職サイトに登録して、新しい職場探しから転職活動を始めました。

転職活動は初めてのことでよく分からなかったのですが、エージェントとやりとりをしながら見学する病院を絞り込んでいく形でした。

私は新しい常勤転職先の希望条件として「専門医の取得が可能な研修施設で、当直免除の病院」を優先してほしいと、医師転職サイトのエージェントに伝えました。

条件1:専門医の取得が可能な研修施設

私は大学医局に所属していた時から、整形外科の専門医を取得することを考えていました。

しかし退局を決意した当時、専門医試験を受験するための研修年数はクリアしていたのですが、受験資格に必要な論文が足りないという致命的な問題がありました。

そこで論文指導などもしていただけるような、教育体制が整っていてきちんと指導してくれる病院への就職を希望しました。

条件2:当直免除の病院

また前述した通り、寝れない当直などをこなし翌日もフルで働くほどの体力がなく、当直に限界を感じていました。

そのため医師転職サイトのエージェントには、当直なしで働けるところがいいと伝えました。

ここで中途半端な答え方をしてしまうと、希望にそぐわない候補が上がる可能性があるため、なるべく具体的に理由もつけて回答しました。

条件3:その他勤務条件の希望

そのほかにも通勤時間や給与、勤務日数についての希望をエージェントから聞かれましたが、「通勤時間は短いほうがいいな」以外には特に希望はなかったため、この辺についてはとくに具体的な希望は出しませんでした。

まあ医師転職サイトに記載されていた勤務条件にざっと目を通したところ、いずれの施設も当時所属していた医局よりはるかにいい条件のところばかりだったというのもあるかもしれませんが……笑

医師転職サイトから提示された案件から見学先を決定

複数の医師転職サイトに登録したおかげで、各社エージェントから大体5~7こほど転職案件を勧められました。

私が提示した条件の「専門医認定施設」という条件のおかげでだいぶ絞られていたので、医師転職サイトのエージェントから提示された医療機関は大体同じもので、合計10施設ほどの転職先候補が上がりました。

生活のことを考え、通勤時間が1時間を超える施設や年間手術件数があまりにも多すぎる施設、当直はできればやってほしいと記載してある施設はこの時点で除外し、実際に見学に行ったのは4施設でした。

私が感じた「医師転職サイト利用のコツ」

とにかくたくさんの病院が医師転職サイト上に掲載されており、自分一人で希望する条件の病院を探すことは非常に困難だと思います。

そのため、エージェントに具体的な希望条件を伝え、これだけは譲れないポイントだというところを強調しておけば、ある程度はお任せしていいのかなと思います。

その後に相談しながら吟味して見学先を検討していかないと、日常の業務の中での転職活動は体力的にも辛くなってしまいます。

周りの医師の中には、報酬が高いところに転職させるに決まっているからエージェントは信用しない!という人もいましたが、私個人の経験では特定の職場をゴリ押ししてくるような方は一人もいませんでした。

転職候補の医療機関を実際に見学

提示された転職候補先を見学するも…

最初に検討した2施設はほとんど同じような雇用条件で、手術日が決まっておりその日だけはかなり遅くなってしまう、とのことでした。

先生や事務の方は皆さん優しそうで、私の体調の面も考慮した上で、当直なしの他にもできることはないかと聞いてくださったのですが、やはり手術日の勤務と通勤の際にラッシュに巻き込まれてしまうことがネックとなり第一候補とはなりませんでした。

3つ目に見学に行った施設は衝撃的でした。

基本的に大学医局からの派遣で成り立っている病院で、それ自体は問題なかったのですが常勤医が1名しかおらず、その先生に開口一番に「戦力としてガンガン使っていくからよろしく。まさかとは思うけど妊娠とかしないよね?」と言われ、目が点に……笑

同行のエージェントの方もビックリしておられましたし、結局この病院は即お断りしました!

ついに自分の希望条件にあった医療機関とマッチ

最後に見学に行ったのが今の勤務先です。

自宅からは少し距離がありますが、下り方向のためラッシュもなく、ほぼ座っての通勤が可能でした。

また、マンパワーに余裕があること、ほぼ毎日定時で仕事が終わること、有給がきちんととれる事が大きなポイントで、この病院に勤務したいなと思いました。

入職の希望を伝えたところ院長や部長も歓迎してくださり、トントン拍子に転職先が決定しました。

事前にお話はしていたのですが、まだ医局に退局の意思を伝えていないため入職の時期が多少ずれ込む可能性があることを再度伝え、了承をいただきました。

先に転職先を決めてから退局の宣言をする先生も珍しくないとのことだったので、ここでトラブルが起こることはありませんでした。

私が感じた「見学の際に気を付けたいポイント」

年収や勤務日数にばかり目が行きがちですが、私が見た主なポイントについて順に解説していきます。

駅からの距離と医療機関周辺の治安

雨の日などは職場が遠いだけで気が滅入ってしまいます。

また帰宅が遅くなったりした時に治安が悪いところと通るのは不安が強いため、距離や医療機関周辺の治安は調べておいた方が良いでしょう。

手術日と年間手術件数

手術日と年間手術件数は、日常業務の忙しさに直結します。

あまりに多すぎるとまたキャパオーバーになってしまい、結果的に再び転職しなければならなくなってしまう可能性もあります。

診療科としてどんなものを扱うことが多いか

今後また新たな組織に所属する以上、方針ややりたいことの方向性が合っていないと苦労します。

外傷ばかりなのか?より専門的なものばかりなのか?扱っている専門的なものの手術は自分が将来進みたい方向と合致しているか?などなど、自分の科にそった質問をしてみましょう。

有給がきちんと取れるか

医療業界ではいまだに有給をまともにとらせてくれないところもあります。

私は冠婚葬祭や家族の行事等は大切にしたかったので、有給をちゃんと取らせてくれるところかどうかを確認しました。

残業はどの程度か

給与が前より良くても、勤務時間が前よりはるかに増えてしまった、という事態を回避するためにも、残業が平均的にどれくらいあるのか確認することは重要です。

私は見学に行った際にタイムカードを見せていただき、残業がどの程度あるものなのか確認させていただきました。

コメディカルとコミュニケーションがきちんと取れているか

仕事をする上で職場の人間関係は重要です。

日中の病棟を見学する機会があったら是非見ておいた方がいいと思います。

指導の体制は整っているか

私はまだまだ若手で、自分がやっている医療が完璧であるとは思っていません。

様々な手術や病棟・外来での症例相談、論文などに関しても、きちんと指導を受けたいと考えていたのでかったのでチェックするようにしました。

電子カルテを導入しているか

これは私にとって非常に重要なポイントでした!

古い医療機関などではいまだに紙カルテを使用しているところもあるのですが、やはり電子カルテの方が利便性がよく、正直なところ紙カルテは絶対に嫌でした……。

電子カルテについてチェックする場合は、できればどこの会社の製品かも含め見ておきたいです。

その他

そのほかにも様々気になるところは、人それぞれあると思います。

特に一度見学に行っただけで全てを把握できるわけではありません。

実際に見られないところは、適宜質問をして疑問を解消するようにしました。

転職先決定後、退局すべく動き出す

医局からの退局への反発

退局すると決めたら絶対に、教授や医局長に退局する意向を伝えなければなりません。

私には転職活動の一連の流れの中で、これが一番大変でした。

私の所属していた医局では、講師クラスになって開業するために退局する先生がほとんどで、それ以外の理由で退職するという事例はあまりありませんでした。

まだ専門医もとっていないような若手の私が、しかもその他の理由で退局しようと決意したため、退局したいという希望を伝えると、「当直を免除にするから、カンファレンスに参加しなくていいから、好きなところに出向していいから」などと、あの手この手で強く引き止められました。

しかしそれでは私以外の先生の負担が増えることになりますし、アルバイトを含めた当直がゼロになると、研究日の非常勤バイトがあったとしても経済的に厳しい状態となってしまいます。

しかし何度も教授室に呼ばれて教授や医局長と面談し、それでもなお引き止められたため、もう少し頑張ってみようかなとも気持ちが揺らぐこともありました。

退局の意思は強く持つ必要がある

しかし落ち着いてよく考えてみると、体力的にも精神的にも限界だった私は仕事と家の往復しかしておらず、趣味に割く時間もなく何のために生きているのか分からなくなっていました。

そこで私は「転職先も決まってるので、それでも退局します」と言い切り、ようやく退局の許可が出ました。

退局の意向を伝えた途端に好条件を提示するなどと掌を返されたので、「今まで医局員を駒のように扱ってきたくせに都合がいいな」と思いましたが、独身の私が抜けると地方に配置できる可能性の高い医局員が減ってしまうので強く引き止められたのかな、と思っています。

ちなみに「次の転職先はどこだ?」と聞かれたので、学会などで病院の名前がわかってしまうし正直に伝えたところ、「あの病院はとんでもない病院だぞ」と言われ、最後まで快く送り出してくれる雰囲気ではありませんでした。

私が感じた「退局を伝える際のコツ」

一度決めたら強い意志を持って意向を伝えないと、組織を抜けることはなかなか難しいのだなと感じました。

私はもともと思ったことを強く言うことが苦手で自己主張ができないタイプで、何か言われるとそれにうまく反論することができずに言い負かされてしまうことが多かったので、きちんと伝えられるかが心配でした。

そこで考えたのが「先に転職先を決めておく」ことでした。

あらかじめ逃げ道のないようにしておけば、伝える以外の選択肢がなくなるので話しやすくなるかと思ったからです。

そのおかげで自分の意見を主張することができたので、結果的にはよかったと思いますが、転職先にまだ退職の意思を伝えていないことをきちんとお話ししておかないと、転職先に迷惑がかかる可能性があるので注意が必要です。

退局決定後は精神が安定

退局に伴う医局の医師からの嫌がらせも

退局が決定した後ももちろん勤務が続くわけですが、その後大学病院では存在を無視されたり、理不尽に怒鳴られたりと、辞める直前までごく一部の先生からは嫌がらせをされました。

しかし「もうすぐ退局だし、今我慢すればすべて解放される」という安堵感から、あまり気に病むこともなく無事に転職できました。

私が退局で失敗したこととは

ただ、私が一つ失敗したことは最後に有休を消化しなかったことです。

もともと有休がとれる雰囲気ではなかったので入職して以来一度もとったことがなく、しかも一部は夏休みとして消化されていると思い込んでいました。

しかし実際には夏休みのほかに有休が付与されており、退職時には丸々1か月分も残っていたのです……。

私はそれに気づかないまま次の勤務先に転職してしまったため、そのまま1か月分損してしまったことになります。

大学病院など、特に初期臨床研修病院からそのまま入局した場合、雇用契約等の通知があいまいになることもあるかと思いますので、有休の消化は忘れないように気を付けたほうがいいでと思います。

退局・転職活動を終えて

転職先は大きすぎず小さすぎずのちょうどいい規模の病院で、いい距離感でコメディカルとのコミュニケーションが取れるようになりました。

また、当直がないのできちんと睡眠時間を取れているし、趣味のための時間も増え、友人と食事を楽しむこともできています(コロナのせいで今はなかなかできませんが……)。

通勤時間は以前より少し長くなりましたが、外来をメインでやりたい、手術をたくさんやりたいなどといった希望にもフレキシブルに対応してくれるし、給料もだいぶ上がりました。

QOLを考えて転職を決意して本当によかったです。

退局を悩む医師へ伝えたいこと

とにかく行動しなければ何も始まりません。

医師転職サイトへの登録は地味に面倒くさいので、転職を少し考え始めた時に登録だけでもしておく方がベターです。

余裕がなくなればなくなるほど、医師転職サイトへの登録に使うエネルギーも無くなっていくので、これだけは早めにやっておきましょう!

そして、漠然とでもいいから「こんなところあるかな?」とエージェントに相談してみるといいと思います。

今回の医師転職体験談に対するまとめ

今回は若手女性マイナー外科医師の退局から転職までの体験談をいただきました。

おるとの転職関連の記事とはまた違ったチェックポイントがあり、こちらも非常に重要な内容となっております。

有給に関しては「辞めることで迷惑をかける上に、有給をフルで使うとか舐めてるのか」という対応を取られることは多いと思いますが、法的には取得させる義務があります。

医局の他の先生方に迷惑がかからない範囲で有給の取得などは積極にしていくべきでしょう。

このように他人の体験談というものは、非常に学ぶものも多いので、是非皆さんもこの体験談から何か学べると良いですね!

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