仕事で辛いことがあったときに「辞めたい」と考えたことがある医師は少なくないとは思います。
しかし専攻医という立場だと、「やめてしまって良いのだろうか?専門医はどうしよう?」という疑念が湧いて出てきます。
今回は専攻医を辞めたいと思った時にもう一度考えるべきチェックリストを作成してみようと思います。
専攻医は職場を辞めることは可能?
2018年4月より新専門医制度が導入され、専門医研修プログラムに登録し研修を行う医師のことを「専攻医」と呼ぶようになりました。
これは新専門医制度以前の単語で表すならば「後期研修医」と同じポジションであることが言えます。
この段階で職場を辞めることは可能ですが、その後に別施設で専門医研修プログラムを継続して専門医を目指すのか、あるいは専門医を諦めてしまうのかを考えて行動する必要があります。
「専攻医辞めたいな」で考えるべきこと
では実際に辞めたいと思ったら何を考えるべきなのかを列挙してみようと思います。
なぜ辞めたいのか?
まずどう考えても一番重要な内容となります。
専門医研修プログラムは人数の制限などの関係から、なかなか気軽に気軽に出入りすることが出来ないようになっています。
そのため専門医研修プログラムから逸脱してしまった場合、基本領域の専門医やそれに続くサブスペシャルティ領域の専門医も取得することが出来なくなる可能性があります。
もしも自分の辞めたい理由がこれを上回るほど大きければ、決意してみても良いのかもしれません。
あと1年だけど仕事がしんどくて辞めたい......!なんて場合は、なんとか頑張って欲しいところではあります。
慎重に天秤にかけるようにしましょう。
辞める以外に取れる選択肢はないのか
職場自体が自分に合わないと言う場合は、わざわざ退職して専門医研修プログラムを抜ける必要がない場合もあります。
現在の職場の労働環境が少しマシに慣ればそれに越したことはありませんよね!
例えばパワハラなどが辛い場合に、人事権を持つ上司や第三者の相談窓口などに相談して、パワハラ自体をなくすなどの手段がこれにあたります。
もしも職場自体を少しだけ変えることができれば、ギリギリ専門医取得までくらいは頑張れるかもしれません。
もし辞めた場合どのような働き方をしていくのか
職場を辞めた後の選択肢は、何も病院を変えるだけではありません。
スポットバイトや非常勤バイトで生計を立てる医師、専門科や訪問診療などのクリニック勤務を続ける医師、医業以外で稼いでいく医師などなど、様々な働き方があります。
次項の「自分のキャリアプラン」というものをしっかり考えた上で、次の辞めた場合の働き方を選択するのが良いでしょう。
給料がいいからとりあえずフリーランスやって、後のことはその時になったら考えるわ!みたいな安易な選択はお勧めしません。
自分のキャリアプランに「専門医」は必要ないのか
医師として生涯を終えるまでに、一体どのようなキャリアを歩むつもりなのでしょうか?
先のことはまだまだわからないとは思いますが、まずザッと考えてみて下さい。
考え終わったら次に、自分が専門医を取らなかったことによる不利益が起こり得るかどうかを考える必要があります。
どんな不利益が起こる可能性があるか列挙してみます。
専門医の有無で治療の選択肢が減る
現在専門医を持っていないと施行してはいけない治療というものが存在します。
例えば整形外科領域では、ザイヤフレックスというデュピュイトラン拘縮に対する治療薬は、
- 日本手外科学会認定手外科専門医
- 本剤の適正使用に関する規定の講習を受講した医師
上記の要件を全て満たす医師のみ使用可能とされています。
このように専門医の有無によって自身の医師としてのできることが制限されてしまう場合があります。
また私が以前勤務していた病院では、ローカルルールで「専門医持ちの常勤医不在の日に非専門医のみで手術を行うことはできない」とされているところもありました。
就職・転職で待遇が変わる可能性がある
求人案件を見ているとわかりますが、求人によっては専門医の有無で給与が高くなるというものがあります。
この傾向は特に非常勤などで多く見られ、常勤ではどちらかというと年次のほうが重視される傾向にあります。
ただこれは専門医を持っている場合、自ら交渉の材料に使うことも可能です。
また前述したとおり、勤務内容に制限がついたりすることも出てきます。
開業などでは専門性を提示することも
開業をする場合などは、ホームページ内などに専門医を掲示しておくことにより、クリニックの集客につながる場合も少なくありません。
中には所属学会を羅列しておくだけの医師もいますが、やはり専門医の方が患者の反応があります。
今後専門医の優位性が高まっていく可能性がある
現在は専門医を持っていてもさほど変わらないと感じているかもしれませんが、もしかしたら近い未来に、
- 専門医の診察には診療報酬で加算が付く
- 専門医しかできない治療が増える
- 専門医しか新規開業してはいけない
なんてことになる可能性は0ではありません。
特に上ふたつは比較的起こりえるのではないかとおるとは考えます。
専攻医を辞めた後、専門医を取ることは難しい
専攻医が辛いから専門医研修プログラムから途中脱落してしまったとして、その後専門医を取ることはできるのでしょうか?
答えはできることはできるが厳しいと、おるとは考えます。
これは専門医研修プログラムのシステムの問題と、年齢を重ねることによる行動力の減退が関係します 笑
専門医を取りたいと考えているのならば、悪いことは言わないのでそのまま取ってしまいましょう。
専門医が取れる病院に転職したいと考える場合は、医師転職サイトのエージェントにその旨を伝えると、可能な病院をリストアップしてきてくれたりもします。
辞めたい決意が固まっていなくても、参考程度に相談してみてはいかがでしょうか?
専門医も取りたいし転職もしたい場合
が上から順におすすめ!
辞めずにひとまず休職も
勤務自体がストレスになり、精神的に勤務を継続できない状況に陥ってしまった場合っは、「辞める」という選択肢を急に選んでしまうことは少々危ういでしょう。
この場合は「一度休職する」というのも考えるべきでしょう。
本格的に追い込まれてしまうとなかなか大きな行動を取ることが難しくなってしまうので、そうなる前に何か行動を起こすようにしてみましょう。
専攻医だけど「職場を辞めたい」と思った時まとめ
おるとの個人的な意見としては「専門医はあるに越したことはないので、なんとか辞めずに専門医を取る方法を捻り出してほしい。取ったら好きに辞めなさい!」です。
絶対に人生において必要ないし、取得までもまだまだ数年かかる......なんて場合は諦めて「辞めたい」という気持ちに従うのも手かもしれません。
とにかくしっかりよく考えて行動しましょうね!
専門医が取れる病院に転職したいと考える場合は、医師転職サイトのエージェントにその旨を伝えると、可能な病院をリストアップしてきてくれたりもします。
ぜひ参考にしてみて下さい!
専門医も取りたいし転職もしたい場合
が上から順におすすめ!