現在の日本の医療は、医師が長時間労働をすることが前提で成り立っていると言っても過言ではありません。
しかし今後、医療ニーズの変化や医療の高度化、少子化に伴う医師不足の加速などが影響し、さらに医師個人に対する負担が増加するのではないか?と予想されています。
そこで厚生労働省は、医師自身の健康と患者に対する医療の質・安全の確保を目標に、「医師の働き方改革」を提唱しました。
今回はその中でも医師の働き方やバイトなどに大きく影響する「宿日直許可」について解説してみようと思います!
宿日直許可とは何なのか?
早速ですが、医師の働き方改革における「宿日直許可」とは何なのでしょうか?
厚生労働省の資料では、以下のように定めています。
労働基準法では、常態としてほとんど労働することがなく、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者保護に欠けることのない宿直又は日直の勤務で断続的な業務(例えば、いわゆる「寝当直」に当たるような業務)については、労働基準監督署長の許可を受けた場合に労働時間規制を適用除外とすることを定めています。
要するに、いわゆる寝当直のようなほぼ業務がない日直や当直は、労働時間としてカウントしなくて良いよ!という規定が宿日直許可となります。
この点に関しては、どの程度から「ほぼ業務がない」と判断するのか?という疑問が出てくると思いますが、こちらに関してはある程度決まりが存在します。
宿日直許可の対象となる医師の業務内容は?
では宿日直許可の対象となる医師の業務内容には、どのような決まりが存在するのでしょうか?順に見てみましょう。
1. 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること
通常の勤務時間が終了していたとしても、通常の勤務態様が継続している間は宿日直の許可の対象になりません。
許可が与えられた場合でも、宿日直中に通常の勤務時間と同態様の業務に従事したときは、その時間について割増賃金を支払う必要があります。
2. 宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊な措置を必要としない軽度または短時間の業務に限ること
例えば以下の業務等をいいます。
- 医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む)や、看護師等に対する指示、確認を行うこと
- 医師が、外来患者の来院が通常予定されない休日・夜間(例えば非輪番日など)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと
3. 一般の宿日直の許可の条件を満たしていること
一般の宿直許可の条件は、以下になります。
- 常態としてほとんど労働することがないこと
- 通常の労働の継続ではないこと
- 宿日直手当額が同種の業務に従事する労働者の1人1日平均額の3分の1以上であること
- 宿日直の回数が、原則として宿直は週1回、日直は月1回以内であること、5.宿直について相当の睡眠設備を設置していること
4. 宿直の場合は十分な睡眠がとりうること等の条件を満たしていること
監督署の実地調査では、宿直室の設備や衛生管理に関する調査による確認のほか、対象労働者への実態の聴取から、睡眠の確保状況を確認しているものが多い。
宿日直許可による医師や医療機関のメリットとは?
では宿日直許可があることによるメリットはあるのでしょうか?
宿日直許可があることにより得られるメリットは、雇用される医師側にも医師を雇用する医療機関側にも存在すると考えられます。
前述した通り、日当直業務をしたとしても宿日直許可があれば、労働時間に対する規制が適用されなくなります。
つまり、この宿日直許可がある医療機関で日当直をすれば、医師の労働時間とカウントされず、医師の時間外労働の上限規制のことを心配する必要性が減ります。
医師の働き方改革により時間外労働の上限規制が発生すると、非常勤バイトなどを今まで通りこなすことができなくなり、医師個人の収入が減少する可能性があります。
非常勤やスポットによる当直バイトは、減少する医師の収入を手助けすることとなることが予想されます。
時間外労働の上限規制を気にする医師は、必然的に宿日直許可の有無を確認することになると思いますし、医療機関としても宿日直許可を取得しておくことで、外部から医師を非常勤やスポットで採用しやすくなるというメリットが生まれます。
宿日直許可による医師や医療機関のメリットまとめ
宿日直許可があることによって、雇用される側の医師にも雇用する側の医療機関にもメリットが生じます。
今後非常勤やスポットでの当直バイトを探す場合、宿日直許可ありの医療機関は取り合いになる可能性があります。
また転職の際も、「自分の転職先が宿日直許可を得ているか」を確認しておくことにより、非常勤やスポットバイトに行くことができるかを大雑把に予測することができます。
必ず確認するようにしましょう!
常勤医として転職したい場合
が上から順におすすめ!
非常勤医としての仕事を探したい場合
が上から順におすすめ!
スポットバイトを探したい場合
が上から順におすすめ!