当直をしたことない医師というのは、この世にほぼ存在せず、勤務をずっと経験しているうちに「いやだ、つらい」とか「当直辞めたい」なんて思うことも少なくないでしょう。
今回はそんなネガティブな印象がつきがちな当直について、前向きに考察・検討してみたいと思います 笑
- なぜ医師は当直をしなければならないのか?
- 医師の当直の実態を考察する
- 当直が医師の負担になる理由を考える
- 当直が好きな医師の特徴は?
- 医師は当直とどう付き合っていくのが正解?
- 医師は当直とどう付き合っていくのが正解?
なぜ医師は当直をしなければならないのか?
医師の当直というと、「病院に夜も泊まって働く」というイメージが一般的には強いと思います。
昔は「日勤→当直→日勤」と勤務するのが当然とされてきましたが、近年では少しずつ働き方も改革されてきており、当直後に帰宅できる医療機関も少なくありません。
夜にしっかりと寝ることができればラッキー!と思われるくらいなので、夜中に突然起こされて救急対応などをしなければならず、翌日のパフォーマンスの低下がこれまで懸念されておりました。
当直に関しては「医療法16条」に記載があり、「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」と規定されております。
そのため我々は希望の有無にかかわらず、誰かが必ず病院で勤務をしなければならないということになります。
つらい。
医師の当直の実態を考察する
医師の当直についてのアンケート結果
では実際に医師の当直業務の実態を見てみましょう。
医師転職ドットコム を運営する株式会社メディウェルが2017年に行った当直に関するアンケート調査では、
となっております。
ちなみにおるとは勤務医時代は月4〜6回当直、当直前後ともに通常勤務でした。
当直に関する不満や意見
当直というものは我々医師にとって、特に常勤の医師にとっては肉体的にも精神的にも大きな負担になっていることが少なくありません。
このことはアンケートをさらにみると、多くの医師が考えている不満や意見を覗き見ることができます。
アンケートは多い意見から順に、
- 当直明けの休み・勤務の軽減
- 夜勤扱い・交代制勤務にして欲しい
- 当直代の値上げ
- 当直環境の改善
- 非常勤医師を活用して欲しい
- 医師数の増加希望
- 救急対応を無くす・救急対応医の別途設置
- 年齢に伴う当直数制限設置
- 病院の集約化
- 当直の日程を早く決めて欲しい
となっております。
この意見などから、当直業務はやはり負担が大きいと思っている医師が多く存在することは明白でしょう。
また、当直業務自体も最後の最後で急患や救急車の搬送などがあると、本来の当直時間を超えた延長戦へと発展してしまうこともあります。
常勤先と非常勤先の当直が連続になってしまう場合や、他の医師の当直の交代などでなども稀にあり、このような場合は連続当直、通称「連直」へと突入します。
当直はこうしてどんどんジワジワと「イヤな存在」へと進化していくのです。
当直が医師の負担になる理由を考える
不満が大きいという話をこれまでに散々してきましたが、ではなぜ医師にとって当直がこれほどまでに大きな負担となってしまっているのでしょうか?
これに関してはいくつかの理由が考えられます。
当直の間はうまく寝れない
当直中のコール頻度が睡眠に影響
当直という仕事では、医療機関によって忙しさは大きな差がありますが、共通して言えることは「夜中であっても仕事をしなければならない」ということでしょう。
当直中は救急外来に患者が受診したり、あるいは救急車収容依頼があったり、病棟で急変があったり...コールの回数などにもよりますが、基本的に当直中の夜間は何らかの仕事で起こされることがよくあるということになります。
救急外来がとにかく忙しい病院で当直をすると、絶え間なくコールがかかってくるため、ほぼ寝れない当直になることも少なくありません。
では、コール対応が少なければ当直は楽勝!なんて思われがちではありますが、基本的にPHSを常に握り締め、コールがいつかかってくるかわからない緊張した状態で眠ることになるため、身体はやっぱり疲れが抜けず、当直明けは寝不足の状態になることもよくあります。
重症度なども当直の質に関与
また、仕事内容も当直の辛さに関与してきます。
病院によって、二次救急まで対応なのか、あるいは三次救急まで対応するのかによって、当直帯で対応する疾患のレベルは大きく異なります。
夜間ではかなり軽症な症例から、二次救急に紛れ込んでくる重症例まで幅広く、もちろん三次救急も含め、いつ何時も気を抜くことはできません。
また、病院の方針によっては「救急車は原則として受ける」としていたり、地域ルールによって「救急車を断ってはいけない当番指定病院」とされている場合、時には自分の専門外の疾患であっても対応をしなければならないと迫られることも少なくありません。
このようなことは精神的・身体的ストレスにつながり、疲労は計り知れないでしょう。
医師一人あたりの当直回数が多い
当直をしていない医師もいる
前項「医師の当直についてのアンケート結果」で触れたとおり、医師は平均で月3.5回当直をしているわけですが、これはあくまで平均値であり、勤務回数自体は医師によって大きなばらつきがあります。
実際、アンケート調査では約1/4の医師が「当直なし」と回答しています。
当直が平均より少ない医師も、実際にはかなり多いことでしょう。
当直回数が飛び抜けて多い医師も多い
月の当直回数が多いことは、確実に医師の負担になると考えます。
そして医師の当直回数は、みんなが平均どおり働いているわけではなく、少ない医師から多い医師までかなりばらつきがあると考えるべきでしょう。
極端な例だと、常勤先、非常勤先の当直など計10回以上 / 月の当直をこなしている医師や、2連直、3連直なんて当直をこなす医師もおり、結果として月あたりの当直回数が多くなることが負担の要因になりうると言えます。
特にこのような働き方は「医師の当直についてのアンケート結果」で述べたように、産科・産婦人科や救命救急科などの特定の診療科や、専攻医など比較的若い医師や、人手の少ない地方などで多く見られる傾向があります。
当直代が勤務内容などと釣り合っていない
当直の給与相場を皆さんはご存知でしょうか?
非常勤バイトにおける当直では、いわゆる寝当直は1勤務あたり3万円、都心から1時間以上離れると4万円ほどが相場となります。
忙しく寝れない様な病院の当直は6〜7万円程度で、救急車の受け入れ台数や入院させた患者数に対して相応のインセンティブがつくことが多いでしょう。
しかしこれは非常勤バイトの場合で、常勤で働く場合、当直代はこれより低く設定されていることがほとんどです。
そして実際に常勤先が寝当直バイト...なんて医師はほぼおらず、ある程度忙しい当直をこなさなければなりません。
満足できる賃金ならばそれで良いのですが、自分が納得いかない低い賃金でそれなりに忙しい当直をこなしていくと、精神的・肉体的なストレスがどんどん溜まってしまいます。
当直の前後も通常勤務がある
前述したとおり、当直前は95.4%、当直後は82.5%が通常勤務をこなしています。
これは、今回参照させていただいたメディウェル以外医師転職サイトなどのアンケートでもほぼ同様の結果が回答されております。
当直前後の勤務をする場合、仮に9−17時が定時の勤務だとするならば、9時から勤務を始めて翌日の17時まで勤務するため、32時間は最低でも連続勤務しなければならないという形になります。
その上、当直帯では寝ることができるかわからない、寝ることができたとしても、いつPHSがなるかわからないという環境で寝ることとなり、多くの医師が睡眠不足で疲労が溜まった状態で当直後の勤務を1日こなさなければなりません。
当直明けでのヒヤリ・ハットの経験がある医師は半数以上とのアンケート結果から分かるとおり、仕事のパフォーマンスも下がってしまうのは否めません。
宿日直許可の有無がバイトに影響する
宿日直許可を得られていない医療機関で当直をすると、労働時間としてカウントされることになります。
これ自体は喜ばしいのですが、年間の時間外労働時間に影響するほど労働時間が増えてしまうと、今度は生命線でアルバイトでお金を稼ぐことができないという現象が起こります。
当直が好きな医師の特徴は?
救急業務が特に好き
医師の中でも救急業務でアドレナリンが出まくるという方は少なくないでしょう。
業務が楽しく感じるのであれば、多少身体的に負担の多い業務でも、楽しく勤務することができるでしょう。
おるともある程度患者数が多いなど、追い込まれたときの方がテンションが上がります 笑
家を離れることがリフレッシュになる
これは特に結婚をした後の医師に多い印象です。
配偶者や子供などと常に一緒にいると、なかなか勉強や自分の趣味の時間をとることができず、かえって当直で一人になることが心休まる場合も少なくありません。
なぜかわかりませんが、先輩医師には「結婚しても当直だけは続けた方がいい」というアドバイスをいただくことが多いです。
男女問わず同じことを言うので、きっとそうなのでしょう(白目
どうせ同じ暇なら、稼げる方がいい
家でだらだら何もせずにNET○LIXかなにかを見ているくらいならば、当直でもしてお金を稼いでいる方がマシだと考える医師も少なくありません。
このような医師は忙しい当直を選ぶのではなく、寝当直を選んで勤務する方が良いでしょう。
寝当直であればある程度暇な時間を確保しつつ、自分のやりたいことをこなすことができるでしょう。
医師は当直とどう付き合っていくのが正解?
このように医師と当直とは斬ってもきれない関係であり、現状では様々な問題を抱えている勤務であることがわかったと思います。
では医師は当直を止めることができない以上、どう付き合っていけばいいのでしょうか?
勤務環境の改善は難しい
当直の勤務内容や負担の大きさについて、雇用側に訴えると言うことは、できますが有効であるとはいえません。
なぜならば現状で劣悪な労働環境であることを知らないはずがないからです。
医師全員でボイコットなどをすれば対応も変わるのでしょうが、おそらく一緒にやってくれるような方も少ないでしょう。
転職は勤務環境改善の一つの手段
当直業務が身体的・精神的負担となってしまい、精神あるいは肉体の不調に繋がってします場合も少なくありません。
その状態がさらに悪化すると、仕事自体の継続が困難になってしまう場合もあります。
体調を崩してダメになってしまってからでは、勤務自体にも影響が出てしまったり、もし休職してしまった場合は職場復帰にも時間が必要となってしまいます。
そのため、「何だか辛いな?」と感じるようならば、予め早めに環境を整えるように動き始めるのがポイントかと考えます。
転職を自分の中で確定させなくても、医師転職サイトを利用して求人案件を見始めることは、精神の安定にも非常に有効な上に、もし転職したいと決意した時により早く行動に起こすことができます。
医師転職サイトのエージェントにも「転職を考えている」と言うことにして、一度求人案件を眺めてみましょう。
また、転職の際に「当直がない病院」と言うものを希望の条件にすれば、当直すらしなくていい職場に転職することも可能です。
フリーランスはありかなしか?
フリーランスになると、自身の裁量で「当直業務をするかしないか」を決めることができます。
ベースを当直をしないように設定して、たまにやりたくなった時にスポットで勤務するなんて言うことも可能です。
自分の生活スタイルをしっかり定めて、向いてると思ったならばフリーランスになるのもてでしょう。
医師は当直とどう付き合っていくのが正解?
当直はうまくこなすことができれば、自身の診察能力の向上や、気分転換などに有用でしょう。
しかし当直が強い負担となってしまう場合は別です。
とにかく体調などに不調が出てしまい、仕事を継続することができなくなってしまうことが医師にとって最悪の事態であると言えるでしょう。
このような事態に陥る可能性があれば、当直業務を無理にやっていくことはお勧めしません。
当直をしなくていい常勤などに切り替えるようにしましょう!
常勤医として転職したい場合
が上から順におすすめ!