皆さんは転職で失敗したことはありますか?
僕は今まで何箇所もの医療機関と契約をしてフリーランスとして活動してきたわけですが、全ての就職が完璧だったかというと全くそんなことはなく、正直にいうと何度か失敗したなと思うことがあります。
その中の一つで「雇用契約書」を作成していれば、回避できていた可能性があるトラブルについて今回は書いてみます。
- バイト先の医局OB経営クリニックと雇用契約
- 今回の僕の転職の契約内容について振り返る
- そして起こる非常勤バイトの給与に関するトラブル
- トラブルの結末は不当な条件での勤務
- トラブルを起こす医療機関はブラック感がつよい
- トラブルを防ぐために医師に必要なものは?
バイト先の医局OB経営クリニックと雇用契約
職探しから非常勤バイト契約までの流れ
フリーランスの医師として働いていくにあたって、僕はまず勤務先を探していました。
新しい勤務先を探す手法としては、
- 医師転職サイトを活用する
- 自分の知り合いに連絡し求人を探す
- 他人から求人案件を紹介してもらう
という3つの手法をメインにして就職活動しておりました。
フリーランス初年度となる職探しでは、数十カ所の医師バイト求人を専任のエージェントたちと比較・検討し、最終的に6カ所の病院・クリニックで勤務をはじめました。
トラブルになったクリニックはどんなところ?
今回トラブルになった医療機関は、自分が後期研修医として所属していた大学医局を退局された先生が開業されたクリニックです。
当時も数多くの中堅以上の医局員が何人もバイトに行っているような、非公式ながら医局のバイト先として認知されているようなクリニックでした。
フリーランスになろうかな?なんて考える前から、そのクリニックには複数回バイトに行ったことがありました。
そのため僕の勤務内容や態度などは相手方に概ね理解されており、また「将来的に開業するための勉強がしたい」ということも事前にそれとなく話していたため、今回退局にあたって「ぜひうちのクリニックに来て欲しい!」という形で勧誘を受けたのです。
いわゆるツテでの非常勤医師としての雇用という形になります。
交渉をしていくにあたって最終的に提示された給与額は、そこのクリニックでの非常勤勤務相場の1.25倍の給与額を提示され、その額で来年度より契約となりました。
この時点では僕は自分が評価されたという喜びと、高額な給料に対して気持ちがうわついていました。
その後、訪問診療をするために内科のDrも探しているとのことで、同じタイミングで医局をやめた内科の医師なども紹介したりもしました。
今回の僕の転職の契約内容について振り返る
契約に関しては円滑に進んだものの、契約自体をあとあと振り返ってみると、その時点で
- 労働条件通知書なし
- 雇用契約書なし
- 理事長と管理部の人事担当者(以降担当A)と口約束での契約
というものになっていました。
法的な側面から見ると、口約束での契約というものは問題なく、雇用契約書も必須ではありません。
しかし冷静に文字にして見てみると、この時点で上記のような状況に追い込まれているというのは、非常にバカな状態であることが伺えます。
そして起こる非常勤バイトの給与に関するトラブル
そんなかたちで無事に非常勤として働くことが決まり、僕は年度末頃に再度バイトとしてクリニックを訪問することになりました。
クリニックに伺った際に、担当Aではない管理部の方(以降担当B)が「確認なんですけど先生は最終的に〇〇万円で働くことになったんですよね?」と言ってきました。
その〇〇万円という金額はクリニックの固定の相場給与額、つまり僕が担当Aとの口約束で契約を結んだ金額の80%程度だったのです。
一瞬頭の中が混乱して???となり、とっさに「いや違いますよ、△△円ですよ」と訂正を入れましたが、話を深く聞いて見ると、その日の朝の会議で理事長と担当Aがそう言っていたとのことでした。
トラブルの結末は不当な条件での勤務
トラブル後のクリニックからの対応は非情
僕は嫌な予感を噛み締めながら、担当Aにあの手この手で連絡を取ろうと試みましたが、
- LINEは既読無視
- 直接の電話は絶対に出ない
- クリニックに電話しても常に不在対応
ちなみにこの対応は理事長に連絡を取ろうと試みても同じ対応で、絶対に僕と連絡をとらず、そのままなし崩しに勤務に持ち込もうとする強い意思を感じました。
一向に連絡が取れない期間をもどかしく過ごしていましたが、仕方ないので再度担当Bに連絡をとり、担当Aと連絡がとれない件なども含め対応を求めましたが、結局何も解決はしないまま、やはりどんどん月日だけが流れました。
最終的に担当Bから「4月から○○万円で働くのか、来るのをやめるかどちらかにして下さい」と言われました。
結局僕は「仕事がなくなるのは流石に困る」と、最初に提示された給与の80%で働くことになりました。
なぜ担当Bだけ話すことができたのか?
後で考えると、担当Bは僕と比較的仲が良かったこともあり、うっかりミスで僕に会議の内容や給与を下げることをポロっと漏らしてしまったんだと思います。
そして後始末は自分でつけろと言わんばかりに、僕とクリニックとの間で板挟みになってしまったと推測されます。
実際僕が4月に入職した時、担当Bは急遽謎の長期休暇に突入しており、そのままクリニックに帰ってくることなくクビになっていました。
めっちゃ非情ですよね。
トラブルを起こす医療機関はブラック感がつよい
このように、口約束といえども約束を簡単に破るようなクリニックは、別に僕相手にだけ不誠実なことをしているわけではありません。
医師以外にも転職サイトを挟んで面接にきた医療従事者に、後日「給料を上げてあげるから医師転職会社を抜いて個人交渉をしないか?」と持ちかけて仲介手数料を節約し、その後に僕と同様に「給料をあげる約束なんてしていない」という対応もしていました。
実際にも担当Bは、僕とクリニックとの揉め事ののちに、そのままクビになっています。
他の原因に関しては完全には否定できませんが、仲の良い他職員からの情報だと、今回の件が引き金となったとの話でした。
本当に申し訳ないことをしたと思います。
倫理的に描きにくい内容だったりする為これ以上は書きませんが、経営方針や診察内容、職員の待遇なども、今思えばあそこよりひどい医療機関は見たことがないレベルでした。
クリーンさを失って利益のみをひたすら追求するようになった場合、相手は法的にギリギリな内容でもなんでもやってきます。
何かトラブルが生まれるような医療機関は、医師に原因がない場合を除き、全体的にややブラックな傾向があるものだと考えます。
もしも可能ならば、医療機関と交渉する場合はそれが個人交渉だとしても、医師転職サイトのエージェントなどにその医療機関の情報を聞いてみるのが良いでしょう。
医師転職会社には各々の医療機関に対する情報が蓄積されているため、優秀なエージェントだと「そこは危ないです!」などと教えてくれることも多いです。
トラブルを防ぐために医師に必要なものは?
今回の医師ー医療機関間のトラブルで反省すべき点は?
今回のトラブルをあとで考えてみて、僕が反省すべきだと考えたポイントは
- 医局とも繋がりのあるOBというだけで信頼してしまった
- 雇用契約書や労働条件通知書に対する知識がまるでなかった
- NOと言える勇気がなかった
この3点だと考えています。
医局OBだとか、医局から派遣があるとか、何度もバイトに行ったとか、そんなチンケな理由で他人を信用してはいけないのです。
個人契約というものはビジネスですので、どれだけ近しい仲だろうが、ビジネスライクに振る舞い、絶対に間違いのない契約をしなければならないのです。
トラブルに対する策は?
上記内容に対して取れる対策は何かと言うと
- 簡単に人を信用をしない
- 常に保険をかけておく
- 雇用契約書を絶対に作成する
ということが大切であると考えます。
個人交渉の際は口約束は決して行わずに、雇用契約書の作成を絶対に求めるようにしましょう。
また個人での契約に関して自分に自信がない場合は、医師転職サイトを利用してエージェントに交渉をお願いしたりする方が間違いなども少なく無難でしょう。
また、もしも「条件が気に入らないのなら、うちに来なくていいよ」なんて言われたとしても、すぐに切り替えれるように求人案件を確保しておくというのも重要です。
この医療機関との契約を断っても他に就職口があるなら、気兼ねなく断ることができますよね!
自分の身は自分で守りましょう!