医師の働き方というものは実に多彩で、どんな働き方をしてもある程度生活が成り立ちます。
働き方は大きく分けると「常勤・定期非常勤・スポットバイト」と3つの勤務形態が多くなっていますが、基本的には常勤の働き方をメインとする医師が多いでしょう。
では逆に、医療機関と単発契約で勤務する「スポットバイト」のみで生活することは可能でしょうか?
今回はスポットでのバイトのみ組み合わせて生活をする働き方のバイト医について考察します。
- スポットでのバイトについての基本
- 医師はスポットの単発バイトだけで生活出来るのか?
- スポットなどの単発バイトだけで生活するメリット
- スポットなどの単発バイトだけで生活するデメリット
- 医師がスポットのバイトだけで生きていくためのまとめ
スポットでのバイトについての基本
スポットでのバイトとは何か?
医師が通常行うバイトに関しては、大きくわけて2種類の働き方があります。
一つは定期非常勤バイトと呼ばれる働き方、もう一つはスポットバイトなどと呼ばれる働き方です。
定期非常勤でのバイトというのは、定期的(月or週に1〜複数日)に毎回同じ医療機関で働く働き方になります。
例えば「第2、4土曜日勤務」なんてものや、「毎週火曜日勤務」などが定期の非常勤という扱いになります。
基本的には周期性がある働き方、と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
それに対してスポットでのバイトというものは、いわゆる医療機関とはその日限りの単発での契約のバイトということになります。
再度仕事で同じ医療機関を訪問するとしても、再契約という形をとることになります。
医師のスポットでのバイトはどんな内容なのか?
スポットでのバイトは種類なども定期非常勤より多く存在します。
バイト求人サイトで見る募集案件を見てみると、
などなどがメインとなり、数も多く存在しています。
スポットという特性上、定期非常勤勤務ではありえないようなライブ・スポーツ大会などでの待機業務などもあり、定期非常勤勤務とはまた違った気持ちで仕事をすることが可能でしょう。
前述した通り、基本的には一回限りの契約の単発バイトでの勤務となるため、基本的には医療機関や患者とはその場限りの関係となり、フォローアップなどをすることはありません。
そのため、のちのフォローに関しては普段常勤や定期非常勤できている医師が担当することが多くなります。
まさに医師の人手が足りない緊急時のピンチヒッターのような位置付けとして活躍することになります。
スポットでのバイトの給料や時給はいくら?
スポットバイトで働くとすると実際にはいくらくらいもらえるのでしょうか?
これは日程や緊急性、専門科などなど案件によって変わりますので一概には言えませんが、基本的には楽なものや誰でもできるような内容の求人案件ほど金額が安くなっていく傾向が見られます。
また定期非常勤でのバイトなどと給与面を比較しても、やはり金額は安めに設定されていることが多くなります。
大体の目安でいうと、専門外来での時給はおよそ1万円以上、検診などの場合は8000〜1万円程度の印象です。
定期非常勤などの長期契約でのバイトの場合は、金額の交渉なども可能ではありますが、スポットのような単発バイトの場合は金額に関してほぼ交渉は出来ないと考えたほうがいいかもしれません。
どうしても交渉したいという場合は、一度勤務したスポットバイト先に自ら営業をかけてみるのも手でしょう。
次回以降にはなりますが、交渉の内容次第では待遇を上げてもらえることになるかもしれません。
医師のスポットでのバイトはどうやって探す?
スポットでの単発バイトを探す場合は、常勤や非常勤を探す場合と大きく異なり、基本的にツテを使って探すのは効率も悪くお勧めできません。
ツテでのスポットバイトは基本的にこちらから希望して働くというより、病院側から「たまたま空きがあるから働く?」といわれるような形がほとんどです。
そのため自ら貪欲にスポットバイトの求人案件を探す場合は、基本的には医師専用のバイト求人サイトなどを使用することになります。
いい求人を厳選するためには、できるだけ求人の数を多く見る必要があるため、バイト求人サイトへの複数登録が必須となります。
ちなみにスポットバイトを探す場合は
が上から順におすすめとなっております。
各サイトでスポットバイトの掲載内容の傾向が違ったり、案件自体も全く違ったりするので、必ずいい案件は逃さないようにしましょう。
スポットバイトを探す場合は仕事を探す速さと情報量の多さが鍵となります。
複数登録することによりスポットバイトの求人案件の情報量を増やすことができ、またエージェントがサポートしてくれる場合は、希望を伝えておくだけでその条件に合った求人案件をメールで送ってもらうことができます。
一人より複数人で仕事を探したほうが速いのは考えればわかりますよね。
医師はスポットの単発バイトだけで生活出来るのか?
では実際に医師はスポットの単発バイトだけで生活することはできるのでしょうか?
結論を先に述べてしまうと、医師がスポットでのバイトのみで生活していくことは可能です。
スポットなどの単発バイトで生活している医師は俗に「バイト医」や「フリーター医」と呼ばれたりすることがあります。
医師のバイトというのはバイト求人サイトにはかなりの数落ちており、めちゃくちゃ仕事を選んでしまわなければ、仕事に困るということはかなり少ないのではないでしょうか。
実際にツイッターなどでも、スポットバイトのみで生活している医師に遭遇したことがなんどもあります笑
ただ可能とは言ったものの、スポットバイトのみでの生活には当然メリットもデメリットもあるため、しっかり考えてバイト医としての生活を組んでいく必要があります。
スポットなどの単発バイトだけで生活するメリット
ここからは医師がスポットなどの単発バイトのみで生活するメリットを紹介していこうと思います。
バイトの勤務スケジュールを自由に組むことができる
医師がスポットでの単発バイトのみで勤務して生活するという最大のメリットは、バイトの勤務スケジュールを自由に組むことができるということではないでしょうか。
あらかじめ自分のスケジュール上に予定のない日がある場合、スポットでのバイトを入れればその日は仕事になり、バイトを入れなければその日は勝手に(強制的に)お休みになります。
めちゃくちゃわかりやすいですね 笑
スポットバイトだけで生活するというのは極めて自由度が高いスケジュールの組み方が可能となります。
お金などが特に困ることがなければ何日働こうが、何日休もうが全く問題ないのです。
この働き方の特性をうまく利用しすると、自分のやりたいことをやり通すという面ではおそらく最強なのではないでしょうか。
例えばスポットバイト勤務を詰め込んで入れてがっつりお金を稼ぎ、そのあとは仕事を全く入れずに大型連休を作り、旅行などへ旅立つなんて医師も少なくありません。
自分の好きな時に休みを設定できますので、航空券やホテル代が安い時期を選択するなんてことも可能です。
この場合は相対的にお金の価値も上がり、まさに二度美味しいという状況になりますね。
好きな勤務内容のバイトだけを選んで働くことができる
常勤や定期非常勤として働いていると、自分の嫌な勤務内容の仕事が出てきた時はそれに耐えながら勤務を続けなければなりません。
しかしスポットでのバイトの場合、その医療機関では基本的に一回だけの勤務となるため、もしもその医療機関の体制や勤務内容が自分と合わなかった場合は、二度とそこでの勤務をしなければいいだけなのです。
逆に、スポットバイトとして働いた後に「ここのスポットはめちゃくちゃ自分に合う!」と感じた場合は、その後に個人交渉をするなり、医師転職サイトで同じ案件が出てくるのを待つなりすることで、再度勤務をすることができます。
また、当直など自分がやりたくないという勤務内容があらかじめわかっている場合は、最初から検索に引っかからないようにし、スポットバイト自体を入れなければOKなのです。
今までしたことない勤務内容のバイトを選ぶこともできる
スポットでバイトで勤務をしたいと考える場合、何も自分の専門科だけで勤務しなければならないという決まりはありません。
医師として自信と知識・技術がある場合は、他科での勤務などももちろん可能です。
また前述した通り、ライブ・スポーツ大会などでの待機などの一風変わったバイトなども探せば落ちています。
献血や検診などのあまり専門性が必要とされないような業務なども求人案件としては多く見られます。
そのため普段働いている勤務内容と一風違った勤務をたまに入れることにより、偉業をしながら息抜きやスキルアップなどもできるという形になります。
楽しみながら仕事ができるならば、それが一番いいですよね!
スポットなどの単発バイトだけで生活するデメリット
もちろんスポットバイトだけで勤務する場合もメリットばかりではありません。
続いて医師がスポットなどの単発バイトのみで生活するデメリットを紹介していきます。
常にスポットバイトを探す必要がある
前述した通り、仕事を入れる、入れないの裁量権は医師個人にあります。
つまり仕事を入れることを怠れば、仕事がほとんどない状態になってしまう可能性があるのです。
つまり生きていくのに必要最低限のお金を稼ぐ程度には、スポットでのバイトをしっかり確保して働く必要があります。
しかしスポットバイトだけでスケジュールを埋めたい!と考えても、どうしても納得のいく求人案件が見つからないというときも中にはあるでしょう。
スポットバイトの仕事を探すことをエージェントに頼むこともできるとはいえ、常に仕事のスケジュールを気にしながら生活するのは、確かに少ししんどいかもしれませんね。
医療知識やスキルはあまり伸びない
勤務のやり方にもよりますが、基本的に単発でいくようなスポットバイトでは他の医師と絡むことも極めて少なくなります。
常勤などで勤務していると強制的にいろんな医師と働くことになるため、その中で医療知識やスキルを身につける場合も少なくありません。
そのため逆にスポットバイト中心の生活では、必然的に他人から知識や技術を学ぶということが難しくなってくる傾向にあります。
もしもスポットバイトのみで生活をすると決意した場合は、日常的にしっかり医学の勉強して、その知識を持って勤務に挑む必要があります。
毎回勤務する場所が違うというストレス
単発で医療機関と契約して働くというスタイルのスポットバイト勤務では、必然的にどこの医療機関でも「初回勤務」というストレスはあるのではないでしょうか。
- スポットバイト先の通勤経路を毎回調べないといけない
- 通勤場所を間違えてしまう可能性がある
- 電カルなどの説明を毎回受ける必要がある
- 医療機関のしきたりやルールがわからない
- 環境に慣れていないため、対人関係も億劫
などなど、パッと考えただけでも思いつきます。
やはり初めて勤務する職場に行く時というのは、ある程度緊張もすれば、色々と気も遣ってしまうものです。
ましてや毎日違う職場に行かなければならないとなると、居場所を見つけるのにも一苦労しますし、決して居心地が良いとは言えないのではないでしょうか。
ただ前向きに受け止めるならば、毎回勤務地が違うということを利用し、勤務するたびに各地のグルメを食べて帰ってくるなんてことも可能ではあります 笑
まあスポットなどの単発バイトで勤務をする場合、コメディカルもこちらに気を遣った結果、「お客様」のような扱いを受ける場合も少なくなく、親切かつフレンドリーに接してくれる場合も少なくありません。
そのため実際にスポットバイト勤務をした際に、人間関係でひどく嫌な思いをしたりすることは少ないのではないでしょうか。
少なくとも僕はほとんど経験はありません。
医局などの後ろ盾がなくなる
常勤として勤務している医師は基本的に医局や医療機関に所属するという形になります。
そのため何か医療機関とトラブルになったりしたときは、所属先が自分の身を守ってくれたりする場合もあります。
しかしスポットのみでバイトして生活しているという場合は、基本的に無所属の医師という形になりますので、何かあっても誰も自分のことを守ってくれません。
医局の後ろ盾というのは意外と強く、トラブルの際に守ってくれるのみならず、医療機関と医師とがトラブルになることを事前に防いでくれる場合もあります。
スポットバイト中心で生活する医師の場合、医療機関から不当な要求や待遇を受けてしまった時に医局などの代わりに守ってくれるものは「法律」となりますので、もしもの時のために最低限の法律知識を知っておくのも有用でしょう。
専門医や指導医などの取得・更新が困難
専門医や指導医の取得・更新には一定の条件が定められていることがほとんどです。
特に経験症例を必要とするような専門医や指導医などの資格取得・更新の場合、スポットでのバイトだけでは経験症例を集めることができず、新規に取得したり更新するというのが困難となる場合があります。
ただ維持や更新が比較的簡単な専門医を取っている場合は、維持することはそこまで難しいものでもありませんので、スポット中心で生活するフリーター医となっても資格維持しながら生活することは可能でしょう。
更新にあたって「単一の医療機関での勤務が週○日以上必要」なんて制約があるような専門医などは、基本的に更新は極めて難しくなるでしょう。
バイトばかりだと確定申告が面倒
確定申告の時期になると、スポットでの勤務場所1カ所につき源泉徴収票が一枚送られてくることになります。
つまり年間でスポットでの勤務をすればするほど、確定申告で必要となる源泉徴収票の枚数が増加し、どんどん確定申告がめんどくさくなっていきます。
基本的には1ヶ所につき1枚の源泉徴収票となりますので、もしも1年で200ヶ所以上働いたりすると・・・考えるだけでも恐ろしいですね!
このような場合に申告ミスをしないためにも、勤務した医療機関の名前はちゃんとスケジュール帳にでも記載しておきましょうね!
あまりにもめんどくさければ、税理士と契約して確定申告を代行してもらうのも良いでしょう。
医師がスポットのバイトだけで生きていくためのまとめ
スポットのバイトのみで生活していくためには、しっかりとスポットバイトを見つけて、優良な案件をゲットする必要があります。
特にスポットでのバイトを探す場合は、たくさんの情報を集める情報収集力と、迅速な判断力が必要になります。
もしももう少し安定が欲しい場合などは、非常勤勤務を週にいくつか軸として持った上で、スポットバイトを敷き詰める方が良いでしょう!
ひとりだとすぐ限界を迎えるので、絶対にバイト求人サイトを複数登録して、キャリアアドバイザーに探してもらうようにしましょう。
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